<速報>楽天の藤平がプロ初先発で5回2失点「甲子園は高校時代と違った」
交流戦のラストカード、阪神対楽天が16日、甲子園球場で行われ、横浜高からドラフト1位で入団した藤平尚真(18)がプロ初先発、原口文仁に先制2ランを打たれるなどプロの洗礼は浴びたが、5回をその2失点だけに抑えてゲームは作った。ストレートは最速144キロだったが、数字以上に力があり、そのスケールの大きさを示すには十分のプロデビュー戦だった。 あの夏の甲子園を沸かせた藤平が思い出のマウンドに帰ってきた。プロデビュー戦。梨田監督も「甲子園では13イニング投げているんでしょう。マウンドはわかっていると思う。もちろんプロとは雰囲気は違うが、若さを出して先のことを考えずに攻めて欲しい」と期待をこめて送り出した。 2軍では、11試合に投げて1勝2敗、防御率は3.35。奪三振58はイースタントップの数字。楽天では無理をさせず育成する方針だったが、結果が伴ってきたため、チャンスを与えた。 緊張感はあったのだろう。先頭の糸原にストライクが入らずに高めに甘く入った141キロのストレートをジャストミートされセンタオーバーの二塁打を許し、北條の内野ゴロで一死三塁のピンチを作った。だが、高山を一塁ゴロ、福留をレフトフライ。いずれもストレートで勝負して力でねじふせてみせた。 だが二回一死から鳥谷を内野安打で出塁させると、前日のサヨナラ男の原口に初球の外のストレートを左中間スタンドにまで運ばれた。「外のストレート。風にも押された」と原口がふり返る先制2ランでプロの洗礼を浴びたが、そこから崩れない。 4回には二死から原口に死球、岡崎に四球を与えたが、岩貞を冷静にボテボテのキャッチャーゴロに打ち取り、5回も一死から北條に三遊間ヒットを打たれたが、続く高山を変化球でピッチャーゴロ。自ら冷静に併殺に処理して、この回も無失点に抑え、1-2のスコアで、6回の打席で代打を出されて降板した。5回、84球を投げて5安打2失点はプロデビュー戦として上々。三振はひとつも奪えなかったが、余裕が出てからは、ストレートにキレのあるフォーク、カーブをうまくミックスさせて非凡さを見せつけた。ストレートには、まだ144キロから130キロ台とばらつきはあるが、腕が遅れる、ゆったりとしたフォームから投げ込み、バランスと指のかかりがうまくいったボールには威力があった。藤平の可能性を示すプロデビュー戦となった。 与田投手コーチは、「初回は緊張もあってぎこちなかったけれど、それ以降は落ち着いてきたね。ホームランは打たれたけど、初登板にしてはしっかり投げられていると思うよ。フォアボールは1つだし、ボールもばらけていない」と合格点を与えていた。 降板後、藤平は、ほっとした表情で以下のコメントを広報に伝えた。 「初回はすごく緊張しましたが、(初回が)終わってからは緊張も和らぎ、楽しく投げることができました。 打たれても嶋さんのミットをめがけて、今できる最高のパフォーマンスをしようと思ってマウンドへ上がりました。空振りが思うように取れなくて、これからはストレート、変化球を自分の思うようにコントロールできれば楽になると思います。高校生の時と甲子園の雰囲気が違い、阪神ファンの応援が凄くて、それを自分の応援だと思って投げました」