「普通の就活生へ。『やりたいこと』はなくていい」…キャリアコンサルタントが断言する理由【就活の技法】
「やりたいこと」はなくていい。まずは「興味・関心」から30社リストアップ
「就活の軸」でよく言われる、将来やりたいこと。たとえそれが明確にあったとしても、やってみて本当に楽しいのかは、特に仕事ではやってみないとわかりません。 やりたいことの前に、やっていて楽しいことがあります。楽しいことと向き合い、楽しいことをやっていく。すると情熱が生まれ、好きになり、結果的にやりたくなってきます。これが仕事を好きになる、情熱のプロセスです。 となると、アルバイト程度の経験しかない、まだ本当の意味での仕事をしたことがない「普通の就活生」では、仕事の何が楽しいのか理解も体験もできていません。想像するしかないのです。だからこそ、選択肢を増やせるよう、「興味・関心」の視野を広げる必要があります。 「選択肢を増やせと言われても、そもそもどんな仕事があるのかわからないし、方向性もぼんやりしているし…」 就活のはじめは、それで構いません。何度も繰り返しますが、就活は「興味・関心」から入っていいですし、入るべきです。最初から「この会社に何としても入りたい!」と心から決まっている就活生は極少数ですし、「この業界じゃないとダメ!」、「職種は絶対にこれじゃないと!」といった大まかな方向性すら定かでない就活生も多いでしょう。 ですが、安心してください。将来の選択肢がはっきり見えている人はほとんどいません。将来に悩み、キャリアに不安がある状態は、20代どころか30代、40代の社会人にとってもごく普通のことですし、定年間際でもまた悩みます。どの年代でも、キャリアの選択は視野を広げることから始まります。 だからこそ、大いに悩み、不安を抱えながらも、一歩ずつ就活を進めていきましょう。「この会社なら自分の特性を活かせそうだ」、「自分の強みと、会社が求める人材像が一致している」からリストアップしないで、様々な業界や職種、企業に、最低30社へ「興味・関心」を寄せてみてください。 森田 昇 10回転職したキャリアコンサルタント・中小企業診断士 何の資格も技術もないまま就職氷河期の1998年に大学を卒業、社会人となる。新卒入社した当時のITブラック四天王を3年で辞めた後、2社目は1ヵ月で、3社目は2ヵ月で退職。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し、年収の乱高下を味わうも「ちょいスラ転職®」と「就活の技法」で生涯収入の最大化へと着実に近づいている。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)、『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。