「普通の就活生へ。『やりたいこと』はなくていい」…キャリアコンサルタントが断言する理由【就活の技法】
強みや価値観はあくまで「武器」でしかない
いつ使う武器かと言えば、書類選考や面接時です。詳しくは次回以降の記事で解説しますが、採用担当者や面接官は(1)働きたい理由と(2)活躍できる理由、この2つにつながるポイントしか志望動機では見ていません。 (1)働きたい理由…企業とマッチングしているか、熱意や本気度はどれくらいか。「就活の軸」である価値観が起点。 (2)活躍できる理由…一緒に働きたいと思うか、入社後に伸びしろはありそうか。「取り組む姿勢」である強みが起点。 そう考えると、そもそも就活対象の業界や企業が定まっていないうちに強みや価値観といった武器を自己分析で磨いても、それが本当に志望する業界や企業の役に立つものなのかわからないのです。この2つから業界や職種を絞っていくのではなく、逆に「この業界や企業がいいかもしれない」と定めてから、その業界や企業に評価されるための自己分析を行えば良く、就活の序盤ではどちらも考えなくていいものです。 「自分の価値観に合った業界や企業はどこにある?」と、過去経験を起点にした就活を進めても選択肢が狭まるだけです。就活のはじめは業界や職種を広く見るほうが得、というより業界や職種を幅広く見ていくと、自然と志望先を取捨選択する「目利き」がついてきます。これこそが価値観であり、「就活の軸」です。就活の最初から作れるものではありません。 だからといって、自分の強みを活かせる仕事を選んでも、そこに適性があるかはわかりません。強みとは他者との差別化ですから、面接時にはその企業で活躍できる理由を語れる武器になり得ますが、それだけです。実際に仕事に活かせるかどうかは、配属先の人間関係や仕事内容等の環境に依存します。「強みを活かせる仕事なら適性がある」といった考え方に対しては、環境や時間の変化、上司や部署の異動で求められるスキルセットが違ってくるので、今や疑問符が付いています。 就活を進めるうえでは、価値観や強み、適性といった「学生のうちはまだハッキリとしないもの」を頼りにせず、視野を広げることだけ考えましょう。