自然遺産のはずなのに残された廃棄物 返還後の米軍訓練地「実態知って」 浦添市で11月20日までパネル展
米軍北部訓練場(沖縄県)の返還地に放置された空包などの実物や写真を展示する「米軍廃棄物パネル展」(同展実行委員会主催)が8日、浦添市城間の平敷兼七ギャラリーで始まった。「沖縄の米軍基地を東京へ引き取る党」党首の中村之菊(みどり)さん(44)=千葉県在住=が、基地被害の実態を本土の人に知ってもらおうと9月から関西や関東地区で開いており、県内では初めての開催。中村さんは「安全保障を享受している本土の人は知る責任がある。全国に発信し続けていきたい」と話す。(社会部・塩入雄一郎) 【写真】訓練場跡地から出土した薬きょうについて説明を受ける県職員 さびで朽ちた使用済みの照明弾に、手りゅう弾のピン、空包もある。ギャラリーには米軍が返還地に残していった「異物」が展示されている。その数、約40点。中村さんと、米軍廃棄物の実態を訴え続けているチョウ類研究家の宮城秋乃さん(45)=東村=が現地で回収した。 沖縄の土地をこれ以上苦しめさせないために、 自分も何かできないかと考え企画。9月に大阪府でスタートし、これまで東京都、茨城、埼玉両県で開き、来場者は計千人を超えた。訪れる人の多くは沖縄の基地問題に関心がある人だが、返還地に廃棄物があることを知っていた人は少ないという。 返還地は世界自然遺産の登録地点だ。それなのに廃棄物が放置されている状況に、中村さんは政府の欺(ぎ)瞞(まん)を感じた。 「自然遺産っていう言葉で現実を包み隠している。うすうす分かっているのに、見て見ぬふりをしている」と話す。 宮城さんは企画展には直接かかわらず、写真などを提供した。「一人一人がこうしたパネル展を開いていけば、北部の実態が多くの人に知ってもらえる」と強調した。 一方、ギャラリー店主の平敷七海さん(49)は「沖縄の若い人に知ってほしい」と語った。 中村さんは来年にかけて全国各地で企画展を開き、最後は米ホワイトハウス前でも開きたいと考えている。 企画展は入場料500円で20日まで(火曜日休館)。19日午後5時には中村さんのトークイベント(別途参加費千円が必要)もある。