来季復帰のマクラーレン・ホンダは勝てるのか?
したがって、わずか5周しかできなかったのが、ホンダのパワーユニットに競争力がなかったからだと決めつけるのは早計だろう。今回マクラーレンに搭載されたホンダのパワーユニットは、じつは完成型ではなく、あくまでアブダビ・テスト用の暫定仕様だ。したがって、今回の結果を見て、ホンダがパワーユニットの各部のレイアウト、例えばターボによる熱回生エネルギーを作り出すMGU-Hを置く場所を再考する可能性もある。対照的にすでに今年参戦しているメルセデス、ルノー、フェラーリの3社は、レギュレーションによってパワーユニットの開発が規制されているため、抜本的な変更をパワーユニットに加えることができない。 要するに、今回のアブダビ・テストはホンダにとっても、マクラーレンにとっても、本番を想定したものではないのである。もちろん、まったくトラブルなく走行できれば、それに越したことはなかったのだろうが、どんなトラブルが起きるのかを確認しておくためのテストとしては、決して悪い出来ではなかった。マクラーレンのエリック・ブーリエ(レーシングディレクター)は、言う。「これは来年2月にスタートする新車でのテストへ向けた準備。だから、今日のトラブルはわれわれにとってはボーナスのようなもの。いろいろ学ぶことができたよ」 ホンダの新井総責任者も、思いは同じだ。 「あまり走ってないので、皆さんはいろいろと心配しているでしょうが、ベンチでは経験することができなかった問題を発見したことは大きな収穫。それと現場でマクラーレンのスタッフと一緒に仕事ができたこともわれわれにとってはいい経験になった。もちろん、ほとんど走行できなかったという結果には満足はしていません。でも、アブダビに来たことはまったく後悔していません」 つまり、ホンダが来年、勝てるかどうかの判断は、このテストで下されるべきではなく、来年のエンジン開発が凍結される2月末までに、ホンダがどれだけパワーユニットの開発を進め、信頼性を高め、マクラーレンと一体となれるかにかかっているのである。そして、それは2015年から勝つためであり、今年のメルセデスAMGを倒すためのチャレンジでもある。