「ガンダム」の宇宙生活を現実に 大学や企業が、地球を救うための挑戦を
「スペースコロニー」が現実に
東京理科大学のスペースシステム創造研究センターも2022年からGOIに参加し、宇宙での生活環境の研究を進めています。同センターは、宇宙開発や宇宙環境利用に関する分野横断的な研究の場として2021年に設立されました。宇宙での生活環境に関する研究が「機動戦士ガンダム」の世界観と重なっていたことから、GOIへの参加が決まりました。 センター長の木村真一教授はこう語ります。 「ガンダムで描かれた『宇宙世紀』はもう始まっています。宇宙関連の技術は急速に進展しており、人類が月で生活したり、宇宙ステーションに観光に行ったりする時代が近づきつつあります。こうした時代にはロケットのような乗り物だけでなく、人類が宇宙で快適に暮らすための技術が求められます」 東京理科大学がNTTデータなどと取り組んでいる一つが、「TEAM SPACE LIFEプロジェクト」のなかの、プロジェクションマッピングを活用した住空間の拡張に関する研究です。 「宇宙ステーションなどの閉鎖的な環境に長期間いると、精神的にもストレスがかかります。そこで壁面などに空や地球の風景を投影することで、心理的な解放感を得られると考えました。現在は、どんな映像が最もストレス軽減に役立つかを研究しています」(木村教授) 「ガンダム」でも、スペースコロニーの内部に地球と同じような空が投影されていました。作品で描かれた技術が現実のものとなりつつあるのです。 もう一つの主要な研究は、宇宙の居住空間内でにおいや二酸化炭素の濃度などを計測する環境センサーの開発です。2025年には実際に国際宇宙ステーション内での実験も予定されています。 「宇宙ステーション内の空気は人が健康に暮らせるように人工的にコントロールされていますが、それでもにおいの問題や、場所によって二酸化炭素濃度に偏りが出る問題が存在します。最終的にはこれらを自在に調整できるようになるのが目的ですが、現在はまず、小型のセンサーで場所ごとのにおいや二酸化炭素濃度、湿度や気圧などを精密に計測する研究を進めています」(同)