エネ基原案は「原発利活用に広がり、再エネ課題」 エネルギー経済社会研究所・松尾豪代表
政府が17日示した「エネルギー基本計画」の原案について、エネルギー経済社会研究所の松尾豪代表に聞いた。 原発を最大限活用へ 再稼働や建て替え促す 投資意欲向上には「踏み込み不足」と指摘も ◇ 今回の原案は、2040年という少し先の需給の目標が示された。難しい調整があったことをうかがわせるが、おおむね評価できる内容だ。 脱炭素電源の確保について「原発か再生可能エネルギーか」という二項対立的な議論にならず、いずれも最大限活用することが不可欠であるとしている。原発の利活用をうたっており、前回の第6次計画とは違った広がりがある。原発について「可能な限り依存度を低減する」との記載を削除したことも大きい。 原案では「特定の電源や燃料源に過度に依存しない」と明記され、「ミックス(電源構成)」が意識されている。また、脱炭素電源への移行期間に主力となるLNG(液化天然ガス)の確保に向けた措置を明記したことも評価できるポイントだ。 ただ、課題もある。再生可能エネルギーが増えれば(電気を作りすぎないよう抑える)出力調整で使う火力発電や水力発電のコストがかさんでくる。太陽光発電については好立地の土地がなくなってきており、設置地の住民との軋轢も生じている。「4~5割」という高い目標の再エネを導入できるかが注目される。