【高校野球ベストシーン’23・岐阜編】プライドをかけた「岐商対決」、市立岐阜商の気迫が勝った夏準決勝
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。 市立岐阜商と県立岐阜商のスタメン 【選手権岐阜県大会準決勝・市立岐阜商vs.県立岐阜商】 県内の高校野球では古豪同士の対戦となった「岐商対決」。甲子園では4回の優勝を誇る県立岐阜商と、甲子園には4回出場経験のある市立岐阜商。互いに負けられない意地と意地のぶつかり合いが、好ゲームを生んだ。 0対0で迎えた7回。市立岐阜商が集中攻撃を見せる。連打と盗塁、死球で無死満塁のチャンスをつかむ。ここで打席に入ったのは2番・足立 義虎外野手(2年)。大柄な2番打者が追い込まれながらも、低めの変化球を中前へはじき返して2点を先制。この2点を、先発の森 楓真投手(3年)が粘りの投球で完封勝ちした。走者を出しながらも、気迫の投球を続け、県立岐阜商の3連覇を阻止した。 2年前の夏、岐阜大会決勝は36年ぶりの「岐商対決」となり、周囲は盛り上がった。この代のチームの直接対決は、秋に県立岐阜商、春に市立岐阜商が勝利。互角の2チームが勝負の夏の決勝で対戦し、県立岐阜商が1点差で勝利していた。この試合を当時1年生だった森がスタンドで見て、2学年上の先輩が涙していた姿を脳裏に焼き付けていた。 2年前のリベンジの意味でもあった先発マウンドを任された森は、気持ちで県立岐阜商に立ち向かい、見事に勝利してみせた。決勝では大垣日大に敗れ、甲子園出場は夢と消えたが、県立岐阜商との大一番での勝利は、必ずや将来の糧になる。