馬庭優太は「プロに必要な要素を全部持っている」…では、快足センター・藤原佑は? プロスカウトが見た“大社旋風”注目選手の「ホントの評価」
今年も大きな盛り上がりを見せた夏の甲子園。京都国際高初の全国制覇で幕を閉じた大舞台だが、中でも「台風の目」となったのが島根・大社高の躍進だった。「32年ぶり出場の県立高」というバックボーンから注目された同校だが、その選手たちを百戦錬磨のプロスカウトたちはどう見たのだろうか。《全2回の2回目/最初から読む》 【現地写真】「涙、涙…アルプス見上げる大社ナイン」「130キロ台でも打てない…馬庭優太の超変則フォーム」「大社の42歳監督が…試合後に神村学園を笑顔で」テレビに映らなかった“大社の激闘”を一気に見る 優勝候補の一角・報徳学園との1回戦で先発した島根・大社高のエース馬庭優太投手(3年・176cm81Kg・左投左打)。そのピッチングを見て、「このピッチャー、いいなぁ」とつぶやいたのは、ある敏腕スカウトの方だ。続けて「甲子園では、こういうピッチャーがいちばん怖い」。さて、その心は……? 「ストレートと変化球との緩急でタイミングを外してくるサウスポー。150キロを攻略するなら、今は性能のいいマシンもあるし、報徳さんぐらいなら速い投手がいるチームを選んで練習試合もできるでしょ。大社のピッチャーみたいなタイプは、練習のしようがない。チームにああいうサウスポーがいれば別ですけど」
プロの投手に絶対必要な要素を「全部持っている」
この日の報徳学園戦で、自己最速の141キロをマークした大社高・馬庭投手。 それでも、アベレージは135キロ前後で、スライダーとカーブとチェンジアップ。持ち球には驚かないが、ポンポンと変化球でストライクをとって、抜けたような投げ損じがない。 相手も「そのうち捕まえられる」と思ってしまうから手が打てなくて、報徳打線が8回まで、きれいに「0」を並べてしまった。 「いつでもストライクをとれる変化球が2種類、3種類あって、打者の顔色を見ながら投げられて、タイミングを外せて、四球を出さない。これ全部、プロの投手にも絶対必要な要素ですけど、この馬庭だって全部持っている。プロ注とか騒がれないのは、スピードがイマイチだから。それだけでしょ」 だからこそ、「要注意」だという。 「阪神の伊藤将司とか、(日本)ハムの加藤貴之とか、高校時代、こんな感じでしたよ。むしろ、教えてもなかなか身につかない武器をいくつも持ってるのは、才能がある証拠でしょう。僕が担当だったら挙げたい。育成でじっくり体を作ったら、ドーンと変身する可能性も、十分あると思うんです」 その昔、「体がデカくてスピードがあれば、あとのことはプロで教えればよい」……誰が言ったのか、そんな都市伝説みたいな物さしで何人の「剛腕」がプロに進み、「あとのこと」と呼ばれたコントロール、変化球、タイミングの外し方が身につかずに、志なかばで球界を去って行ったことか。 「今はむしろ、コントロールは教えても身につかない。もし変化球を投げられるんなら、アマチュアの時にとっくに投げるでしょ。こっちのほうが、定説になりつつあります。スピードなんて、プロで10キロぐらい速くなってるピッチャー、いくらでもいるじゃないですか」
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