SNS投稿で岡口基一裁判官が罷免 “表現の自由”どこまで?「意図せず傷つく場合」どう考える?
前明石市長で弁護士の泉房穂氏は「裁判官や検察官、弁護士の世界は特殊なルールがまだ残っている。特に裁判官は事なかれが強いところだから、最高裁はちょっと跳ねたようなことを相当嫌う。今回もご遺族や犬のことは本筋ではなく、変わった裁判官を排除したいというのが本音だったのではないか」との見方を示す。 それを受け大賀氏は「裁判官弾劾法で、著しい非行という場合には最高裁判所に訴追請求の義務がある。ところが、2回も戒告をしておいて訴追請求はしていない。最高裁はちょっと眉をしかめるけどクビにするほどではないと考えていたのに、国会が乗り出したというのが大事なところだ」と指摘した。
■ひろゆき「裁判官はSNSをやってはいけない、ということにしか思えない」
岡口氏は、著書『要件事実マニュアル』が弁護士のバイブルとして知られ、SNSに上半身裸の画像などを投稿したことで“白ブリーフ裁判官”の異名もついている。大賀氏は「雲の上や敷居が高いという裁判官のイメージを、自分を貶めることによってなくそうということのようだ」と意図を説明。 一方、ネットでは「一般人と違い高い倫理観が求められる」「司法の人間がSNSに事件に関する投稿をすることに強烈な違和感」という声もあがっている。ひろゆき氏は「裁判官も同じ人間で、こういう人たちが判断するものだというのを大衆は知るべきだ。表に出て喋るメリットがなくなり、見えなくなっていくほうが社会にとってよくないと思う。ルールを明確にするべきで、今のままだとSNS自体をやってはいけないということにしか思えない」との考えを述べる。
岡口氏は1日10~15投稿を約8年続け、Facebookは法曹関係者向け(友人限定と一般公開を使用)、Twitter(現X)は一般人が面白いと思うような投稿にするなど、ネットを使い分けていた。また、次男によると、岡口氏が裁判官になった時の手紙に「僕は裁判官という保守的な世界を変えたい」と書かれていたという。「そういう信念をずっと持っていて、裁判官の表現の自由を目指していると考えている」と、2018年の番組出演時に話している。 テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「プライベートな投稿なのだが、裁判官という背景によって公私を分けられない難しさがあるのではないか」「ひろゆきさんのポストが及ぼす影響と一緒だと思う。その中で、本人が意図していないのに傷つけてしまう場合があることをどう考えるべきか」と投げかける。
大賀氏は「今回は、やったことと処罰のアンバランスがあまりにも大きい。我々は岡口さんの罷免を食い止めるだけではなく、他の裁判官に萎縮効果が及ばないことを目指してきた。ところが蓋を開けてみると、本人が意図していなくても、結果として受け手が傷つけられたら罷免だということになってしまう。この影響の大きさを、国会議員の裁判員たちはちゃんと想像しているのか?と感じる」と語った。(『ABEMA Prime』より)