“嫌われる”を徹底できる33歳俳優の強さ。実写化に欠かせない「3大俳優」は
作品に調和する力が圧倒的 山﨑賢人
次になんといっても、実写化の申し子といっても過言ではない、山﨑賢人。今年は『ゴールデンカムイ』にはじまり、『キングダム 大将軍の帰還』、漫画ではなく小説原作ですが『陰陽師0』と、3本の作品で主演を務めています。 彼が実写化作品で強い輝きを放ちはじめたのは2014年『L・DK』から。“壁ドン”ブームの火付け役となりました。『ヒロイン失格』『orange-オレンジ-』『オオカミ少年と黒王子』……とヒロインの相手役を務めた彼に、多くの女子が“胸きゅん”したはずです。そこから青年漫画の実写化でも主演を務めるようになり、『斉木楠雄のΨ難』と『ヲタクに恋は難しい』など、ちょっと変わったキャラクターも、魅力的に表現してきました。 現在公開中の『ゴールデンカムイ』の主人公・杉元佐一役でも、“不死身”と言われる軍人の役ということではじめは山﨑の起用を不安視する声もありましたが、見事にはねのけています。フィジカルを含めた見た目の再現度はもちろんですが、作品に調和する力が圧倒的。『キングダム』シリーズもそうですが、山﨑が対峙するのは、俳優としてもキャラクターとしても相当な猛者たちです。そんな彼らを引き立たせながら、主人公のキャラクターを深く理解し表現することで、作品の世界観を守り抜いていると感じました。それにしてもまだ29歳とは……信じられません。
二次元のキャラに血と心を通わせる 玉木宏
最後にご紹介したいのが、『ゴールデンカムイ』で鶴見中尉役の怪演が話題の玉木宏です。鶴見は狂気に満ちたキャラクターで、邪魔な指を嚙みちぎったり、杉元(山﨑賢人)の頬を串刺しにしたりと、“マッド”な男。そんな鶴見の性質を絶妙な匙加減で演じており、狂っているけど部下がついてくる中尉としての存在感が素晴らしかったです。 俳優としての実力はいわずもがなですが、彼の実力に驚かされるのは実写化作品が多いように思われます。出世作ともいえる『のだめカンタービレ』の超俺様の指揮者・千秋役は圧巻です。原作ファンとしても、あの再現度は素晴らしくて!「千秋さま~」と夢中になりました。二次元だった漫画のキャラクターを見た目として再現するのではなく、血と心を通わせる力が玉木にはあります。 それはシリアスでもコメディでも変わりません。『極主夫道』では、元ヤクザで主夫という奇怪な役どころの龍(たつ)をコミカルに、それでいて説得力をもってチャーミングに演じました。『キングダム』シリーズの昌平君役では「もっと見せ場を!!」と思うほどのオーラで作品の世界線を支えています。まさにカメレオン俳優! ========== 漫画のキャラクターを人間が再現することは、今の技術であれば不可能ではないでしょう。しかし、キャラクターの魂を表現できるのは俳優さんだけです。高い演技力と原作へのリスペクトをもって、素晴らしい作品を創り上げている俳優さんたちの更なる活躍が楽しみでなりません。 <文/鈴木まこと(tricle.ltd)> 【鈴木まこと】 tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
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