SANTAWORLDVIEW、仲間のラッパーたちとバンドセットを交え、有機的な音楽を披露
6月7日に単独名義では約2年振りとなる3rdアルバム『NICE TO KNEE YOU』を1%よりリリースしたSANTAWORLDVIEW。リリース後の全国8ヶ所のクラブ・ツアーに続いて、9月15日には東京・渋谷WWW Xにて、初となるライブハウスでのワンマンを開催した。 【写真ギャラリー】SANTAWORLDVIEW 「NICE TO KNEE YOU SHOW 2024」 SANTAWORLDVIEW(以下、SANTA)にとって新たなチャプターとなった『NICE TO KNEE YOU』には、「改めまして、初めまして」という気持ちが込められているという。自分の真理を探究していく過程で開花したSANTAがたどり着いた先は、伝えたいことがあるから歌にしたいラップであり、ジャズも含むブラック・ミュージックをも呑み込んだ多様な音楽性であった。 今回のワンマンは事前に、Bank.Somsaart、Kaneee、Leon Fanourakis、MonyHorse、Only U、ゆるふわギャング、9forといった仲間のラッパーたちがゲスト出演し、AWSM.と甲田まひるを含むバンドでのスペシャル・セットを披露することがアナウンスされていた。初となるバンドセットはこのワンマンでの最大のみどころであり、『NICE TO KNEE YOU』で開花させた音楽性をバンドでどう表現するのかが、非常に楽しみであった。同時に、今までのSANTAを形成してきた楽曲を仲間のラッパーたちとともに聴かせるわけだから、これはある意味、SANTAの過去と現在を見せる、集大成的なライブとなるはずで、実際にそういうライブとなった。 DJ KOTAROがオープニングを務めた後、SYASBOYをDJに迎えて登場したSANTA。最初に披露した曲は、2021年にDJ BULLSETとタッグを組んでリリースした「FLAME」であった。すでにフロアでは客が声を上げ、手を挙げ、良い感じで盛り上がっている。2019年の3rd EP『What just happened?』からの3曲「Pink juice」、「Sniff」、「Smonkey」を、間に2020年の1stアルバム『Sinterklass』からの「Baby What You Want?」を挟みながら披露。フレンドリーな雰囲気の中、SANTAがMCで客に声をかけ、客も歓声を交えながらそれに応えていく。 最初の客演であるMonyHorseが登場すると、二人はDJ CHARI & DJ TATSUKIの曲「JET MODE」を共演。そこから、2023年にLeon Fanourakis、Xanseiと組んで出した『XEONWORLDVIEW』からの「慌てん坊のサンタクロース」で大きな盛り上がりを見せると、SANTAは「床が抜けるくらい、みんなBOUNCEできますか? 右から左、下から上、前から後ろ、全員でBOUNCEしようぜ」と、盛り上がりに拍車をかける。当然次の曲は「BOUNCE」で、盟友のLeon Fanourakisが登場。この曲はSANTAの名前をシーンに知らしめた曲で、2019年当時、この二人が牽引した横浜勢の勢いを見せつけた、トラップ系の最先端を形にした曲である。そこからのSANTAとLeonは、「ブチ上げ戦隊」、「TOBE!!! REMIX」、「俺らは猿」と、『XEONWORLDVIEW』からの曲を立て続けに披露。「TOBE!!! REMIX」ではゆるふわギャングの二人が登場し、「俺らは猿」では、Leonからの「SANTAの曲だよね」というフリに対して、SANTAが「俺らは猿や」と応えて盛り上がりを見せた。 会場のあちこちから「KNEE、KNEE」という声が上がってくると、それを拾ったSANTAは、「KNEE、KNEE、言う子猿がおるな。そんなに俺のライブを観に来てくれる人がいるんだと思ったら、緊張なんかなくなったす! みんなありがとう」と観客への感謝を伝える。 ここでSANTAは、「今までやった作品は過去の作品です。次やる作品は俺の3枚目のアルバム『NICE TO KNEE YOU』。みんな聴いてくれましたか?」とMC。ここからはいよいよ、最新アルバムからの楽曲のライブとなる。 「次の曲は俺が恋してる時に作った曲になります」と、「Boys don’t cry」。続いては、9forを客演に迎えた「Chandelier」。そして、ツアー中に飛行機の中で自分でビートを作ったという曲「Arrivederci」、速めのビートでラップを繰り出す「MOMENT」と続く。ライブ前半とは違うグルーブで、会場にはまた違う雰囲気の揺れが生まれていく。「City to City」で、アナウンスされていなかったWILYWNKAが、急遽シークレットで登場したのも盛り上がった。 「みんながいるからSANTAWORLDVIEWが存在する。めっちゃ深いよ。ちょっと哲学っぽいけど」と、SANTAはスタッフから客演アーティスト、お客さんまで、すべての人たちに対する感謝を伝える。そこからバンドのメンバーがステージに登場すると、待望のバンドセットの始まりとなった。 SANTAがフレックスしていた過去の自分に対して「バカタレ!」と言って笑いを取った後、「BOUNCE」が売れて以降、自分の発言力と行動に対してアーティストとしての意識が芽生えたことを話し始め、「ここまで俺を人格者にしてくれたのは、ここにいるみんなのおかげや」と、感謝の気持ちをバンドセットに込めることをMCで伝える。そこから出会いと別れを歌った「I Wish For U」をバンドでプレイし、Bank.Somsaartも登場。バンドの温かいグルーヴに乗りながら、SANTAもバンドのグルーブを引っ張り、逆にSANTAがバンドのグルーブに引っ張られる、そういうインターアクションが何とも心地良かった。会場内ではシンガロングというよりも、口ずさむように一緒に歌う人たちもいた。 「どうでしょう、バンドセット?」とSANTAが会場に聞くと、観客は拍手と歓声で応える。続く曲「Don’t Worry」でSANTAは、SNSで見たくないものも見てしまうような時代について言及し、「(外の)世界を見るんじゃなくて、まずは自分の内側に世界があるから。その内側の世界をどんどん広げていけ。心配すんな」とメッセージ。先に「伝えたいことがあるから歌にしたいラップ」と書いたが、SANTAの楽曲とMCを合わせて聞いていると、SANTAの伝えたいことが音楽になっているのがよくわかる。バンドの音はサックスも心地良く、ジャズのスウィング感に満ち溢れている。 アニメ『カウボーイビバップ』の曲をアレンジしたという、「COWBOY’S LIFE (TOO GOOD TOO BAD)」と「Honest / Feeling Good (Piano Black)」では、SANTAのラップもバンドと一緒になってスウィングしていく。楽器の絡みとラップの絡みが、どんどん強いグルーヴを生み出していくのが素晴らしい。 SANTAがバンドのメンバー紹介を終えた後、1曲だけ2ndアルバム『I’M THE ONE』からの曲「I DO」を、Only Uを客演に迎えて、バンド・アレンジでプレイする。続く曲のイントロでは、ドラムのビートに合わせてKaneeeが登場し、「Better Days」を披露。アルバム『NICE TO KNEE YOU』の最後の曲「成せば成る」を披露して、SANTAとバンドはステージを去る。ここでも再びSANTAはみんなに感謝の気持ちを伝えていた。アルバム最後の曲はこの曲か「Better Days」にするかで迷ったとのことだが、この日のライブでは最後の曲として見事にハマっていた。 大きな歓声と拍手とともにアンコールを求める観客。再びバンドとともにステージに登場したSANTAは、「新しいスタイル、バンドセット、良かったっしょ? さらに磨きかけて、やったるで! だって俺らの旅、まだ始まったばっかじゃん」と、「BEGIN」につなげていく。 曲が終わった後、SANTAは『NICE TO KNEE YOU』のCD、アナログレコード、ロングスリーブTシャツが発売され、予約するとクリスマスの日(12月25日)に届くことをアナウンス。「またいつか会おう。それまでみんなお元気で。来てくれてありがとう!」とSANTA。過去と現在の両方を見せ、未来への可能性も見せたSANTAWORLDVIEWのワンマンは、音楽の喜びと人のつながりに対する感謝に溢れていた。 <セットリスト> 2024年9月15日(日) SANTAWORLDVIEW 『NICE TO KNEE YOU SHOW 2024』 M00 OPENING SE M01 FLAME M02 Pink juice M03 Sniff M04 Baby What You Want? M05 Smonkey M06 JET MODE feat. MonyHorse M07 慌てん坊のサンタクロース M08 BOUNCE feat. Leon Fanourakis M09 ブチ上げ戦隊 feat. Leon Fanourakis M10 TOBE!!! REMIX feat. Leon Fanourakis & ゆるふわギャング M11 俺らは猿 feat. Leon Fanourakis M12 Boys don’t cry M13 Chandelier feat. 9for M14 Arrivederci M15 MOMENT M16 City to City feat. WILYWNKA M17 I Wish For U feat. Bank.Somsaart M18 Don’t Worry M19 COWBOY’S LIFE (TOO GOOD TOO BAD) M20 Honest / Feeling Good (Piano Black) M21 I DO feat. Only U M22 Better Days feat. Kaneee M23 成せば成る アンコール BEGIN <アルバム情報> SANTAWORLDVIEW 3rd ALBUM 『NICE TO KNEE YOU』 CD+アナログレコード+ロングスリーブTシャツ 2024年12月25日(水)発売決定! ONEPERCENT SHOPにて9月29日(日)まで先行予約受付中 先行予約で購入された方のみ限定サイン入り ※CDとアナログレコードのみ SANTAWORLDVIEW 3rd ALBUM 『NICE TO KNEE YOU』 <トラックリスト> 01.BEGIN (Prod. Taka Perry) 02. COWBOY’S LIFE (TOO GOOD TOO BAD) (Prod. 菅野よう子 & Taka Perry) 03. Honest / Feeling Good (Piano Black) (Prod. 菅野よう子, AWSM. & 甲田まひる) 04. I Wish For U feat. Bank.Somsaart (Prod. AWSM.) 05. Don’t Worry (Prod. AWSM.) 06. Boy’s don’t cry (Prod. NOCONOCO & Chevy Legato) 07. Arrivederci (Prod. SANTAWORLDVIEW) 08. MOMENT (Prod. YamieZimmer) 09. City to City feat. WILYWNKA (Prod. Taka Perry) 10. Chandelier feat. 9for (YamieZimmer) 11. 成せば成る (Prod. NOCONOCO & Yas Nomura) 12. Better Days feat. Kaneee (Prod. STUTS)
Toshiya Ohno