<坂の上の雲>本木雅弘の新録インタビューも 再放送に先駆け特別番組放送
撮影は 2007年の11月からおよそ3年間で、その期間は「坂の上の雲」で秋山真之を演じることだけに集中して過ごしました。最終ロケ地の松山の海で撮影が終了した際には、「とにかく何とか辿り着いた」という放心と共に安堵(あんど)したことを覚えています。
ドラマ「坂の上の雲」は、国内40カ所以上、海外7カ国でロケを行い、スタッフの多くは本当に10年がかりの仕事だったそうです。
事実、あの規模で、あれだけの月日をかけて、あのような拘りで作品づくりに臨める経験はなかなかありません。撮影が終わってから14年ほどがたちますが、この作品でご一緒させていただいた方々の中には、渡哲也さんや加藤剛さんをはじめ、鬼籍に入られた大先輩方も多くいらっしゃいます。自分にとっては、時を経て思い出すたびにその特別感が増してくる、記念碑的な作品です。
今回、「坂の上の雲」を初めて見てくださる方も多いかと思います。原作の司馬遼太郎さんが、「21世紀を生きる君たちへ」という著書の中で、歴史について語られた言葉があります。
歴史とは?と聞かれるとき、「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生が そこにつめこまれている世界なのです」と、答えることにしている。
ドラマ「坂の上の雲」も、明治という時代を生きた大勢の人生が詰め込まれた作品です。新しいことが始まる予感に導かれた多くの若者が、夢を持つことから始まる物語です。
男たちだけはなく、菅野美穂さん、松たか子さん、石原さとみさんなどが演じる明治の女性たちもはつらつと活躍します。
近代国家の成り立ちや戦争についての難しい話以上に見えてくるのは、ある意味、日本の青春時代とも言える明治を駆け抜けた若者たちの痛快、痛切な青春物語です。
誰もが若さ故に無謀なこともして失敗し、傷つき、学んでいきます。そして少しずつ柔らかくしなかやに強くなっていく。その姿にきっと励まされたり慰められたりするでしょう。