Christopher Waller

（ブルームバーグ）： 連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）のウォラー理事は21日、利下げを開始するには良好なインフレ数値を「あと数カ月」確認する必要があるとの見解を示した。ただし最近のデータは物価圧力を押し下げる進展が再開された可能性が高いことを示していると述べた。

同理事は４月の消費者物価指数（ＣＰＩ）について、物価圧力が加速していない兆候だと指摘。４月のＣＰＩは変動の大きい食品とエネルギーを除くコアベースで、前月比の伸びが６カ月ぶりに鈍化した。同理事はまた４月の小売売上高についても、労働市場の減速を示唆する兆候だと指摘した。

米ＣＰＩコア指数、６カ月ぶりに伸び鈍化－年内利下げへの一歩 (4)

４月の米小売売上高は横ばい、予想下回る－過去２カ月は下方修正 (2)

「最新のＣＰＩデータはインフレが加速していないという良い兆候であり、消費と労働市場に関するデータはインフレを押し下げる圧力を加えるという意味で、金融政策が適切に設定されていることを示唆していると私には見受けられる」と述べた。ウォラー理事はピーターソン国際経済研究所で講演。発言内容は事前原稿に基づく。

「３、４カ月の据え置きで経済が崖から急転落するようなことにはならないだろう」と同理事は質疑応答で述べた。

ウォラー理事以外にもここ最近、政策金利を従来想定していたよりも長期間維持する必要性があるかもしれないとの見方が複数の当局者から指摘されている。政策金利は昨年７月から23年ぶりの高水準で据え置かれている。

同理事は講演で、２％目標に向かうという意味で物価データは小幅な進展を見せたに過ぎないと指摘。「私がまだ教授で、このインフレ統計に成績を付けるとすれば、Ｃプラスを与えるだろう。落第から程遠いが優秀とも言えない」と述べた。

「労働市場に著しい軟化が見られないため、金融政策のスタンス緩和を快く支持するには、もう数カ月良好なインフレデータを確認する必要がある」とウォラー理事。追加利上げは「恐らく不要だろう」とも話した。