米国Z世代にパレスチナ支持者増加…終わらないイスラエル・ハマス紛争に嘆く若者たちの思いとは?
Cartoonがパーソナリティを務めるinterfmで放送中のラジオ番組「sensor」(毎週金曜19:00-22:00放送)。番組コーナー「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。 今回のテーマは、「親パレスチナの抗議行動に遭遇して体験したこと」。「NY Future Lab」のメンバーが、イスラエル軍のガザ攻撃に抗議する親パレスチナ派のデモに遭遇し、そこで体験した出来事を語りました。
◆ラボメンバーが親パレスチナ派の抗議活動に遭遇
イスラエルと、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの大規模軍事衝突が続く昨今。イスラエル軍がガザのシファ病院に突入し、新たな局面を迎えています。また、ハマスがイスラエル人などおよそ240人の人質を取っている問題では、カタールが3日間の停戦と引き換えに、およそ50人の人質を解放する案などについて交渉中。この交渉にはアメリカも加わっています。 アメリカではイスラエルとハマスの戦いに関する抗議活動やデモが連日さまざまな場所で行われており、多くはパレスチナ人を擁護し停戦を求めるものです。11月10日には、マンハッタンの中心部で数百人が参加するデモがあり、マンハッタンのターミナル駅、グランド・セントラル駅への交通が一時遮断されました。 ラボメンバーであるメアリーは偶然デモに居合わせており、デモ参加者と論争を繰り広げることになりました。デモではどのようなことがおこなわれていたのでしょうか? メアリー:実は私、偶然パレスチナ人を擁護するデモに参加してしまったんだよね。その日は行きたい場所があったんだけど、警察がグランド・セントラル駅を封鎖していて、どこにも行けなくなってしまった。そうしたら、デモ隊がこちらに向かって歩いてきたの。混沌とした状況で、人々はとても怒っているように見えた。でも、自分の安全に関しては、あまり心配ではなかったよ。なぜって、彼らはパレスチナの人々の安全を求めてデモをおこなっているのだから、私に危害を加えるわけはないと思ったんだよね。 そうしたら、彼らが親イスラエルのポスターを破り捨て始めた。今って誘拐された人たちの写真入りポスターが、街中に貼られているでしょう? だから、私は彼らに「剥がすのは良くないよ」と声をかけたんだよ。「あなたたちが信じていることに賛同しないから言っているわけじゃない。でもこれをやってしまったら、向こうの思う壺になってしまうから」って。 どういうことかというと、イスラエルのほうが犠牲者だというプロパガンダはすでに浸透している。だから、ポスターを破るという行為で「ハマスに勝ってほしいだけではなく、人質なんかどうでもいい」というメッセージを出してしまうことになるよね。 もちろん、そんなふうには思っていないだろうけど、ポスターを破るとそう思われるから、彼らにやめるように言った。でも彼らは、無知で愚かなのは私のほうだと、立ち去るように言われた。だから「わかった」と言ってその場を離れたの。 そのとき、彼らは私に「これまでパレスチナのために何かした? デモに参加した?」と聞いてきた。「参加してないよ」と答えたら、「SNSには投稿したの?」と聞かれたので「私はSNSをそのように使っていない」と言った。「でも、私は寄付をしたよ。それはどうなの?」と伝えたけども、私は悪いことを言ってしまったのかな。みんながピリピリしていたのはよくわかったから、彼らに逆らうことはしたくなかったんだけどね。 アメリカ政府はイスラエルを強く支持している一方で、年齢が若くなるほどパレスチナの支持者が増えており、抗議行動の中心も若者たちです。メアリーも目撃した、親パレスチナ派がイスラエルの人質救出を呼びかけるポスターを破り捨てている様子は、極右のローカル新聞の一面に掲載されました。 新聞を読んだZ世代評論家のシェリーは「ポスターを破る行為はユダヤ人に対するヘイトだと書かれていました。その下には“ハマスはユダヤ人を殺し続けると誓っている”という文字もあります」と説明。「(反パレスチナの)プロパガンダに使われています。こういう記事があることで、パレスチナ支持者はテロリスト寄りだと思う人が増えてしまうんです」と警鐘を鳴らしました。