「ITの島」活躍するのはタレント清水国明さん 山口県周防大島町 「ワーケーション」誘致へ行政とタッグ
山口県周防大島町の廃校跡で、最先端のインターネット環境を整え、島に滞在しながら仕事をする「ワーケーション」の拠点施設の運営が試験的に始まった。島に移住してIT企業の誘致に取り組むタレントの清水国明さん(73)と町がタッグを組み、「ITの島」を目指す。 【写真】小学校跡の元校長室を改装したモデルルーム兼レンタルオフィス 清水さんが社長を務める会社が2022年春、同町伊保田にある鉄筋2階建ての旧油田小校舎を町から10年間無償で借りた。元校長室をモデルルーム兼レンタルオフィスに改装し、大型モニターやパソコンを備える。校庭には利用者が余暇を楽しむドーム型テント2基を設置。施設の管理運営会社「5Gローカルイノベーション」を設立し、今年6月から利用者を試験的に募っている。 施設はスマートフォンの電波が届きにくい場所にある。町は昨年12月、高速で大容量のデータのやりとりができる第5世代(5G)移動通信システム「ローカル5G」の無線局の免許を中国地方の自治体で初めて取得。約5100万円をかけてアンテナや基地局を敷地内に整備した。 さらに町は、高速通信ができる町内の環境を整えるため、インターネット事業を展開するケーブルテレビ会社アイ・キャン(岩国市)に約7900万円を補助。今年4月、ネット網の通信速度を最大毎秒1ギガビットから10ギガビットにアップさせた。 清水さんは「ある程度インフラが整った」として運営を試験的に開始。インフルエンサーを島に招き、施設や島の暮らしを交流サイト(SNS)で発信してもらうPRも計画する。 町は4月、ワーケーションを試す利用者に交通費や宿泊費などを1回最大30万円まで補助する制度を設けた。今後、施設を利用したサテライトオフィスの設置などを期待する。 藤本浄孝町長は「町の経済活性化や人口増につながるのを期待している。協力して取り組んでいきたい」と話す。清水さんは「ITを使って大島を活性化し、過疎高齢化に悩む地方の問題解決のモデルとしたい」と意気込んでいる。
中国新聞社