【第96回アカデミー賞】「オッペンハイマー」が最多7冠 印象的なスピーチで授賞式を振り返る!
クリストファー・ノーラン監督「オッペンハイマー」の作品賞を含む7冠で幕を閉じた第96回アカデミー賞(2024)授賞式。今年いちばん混戦が予想された主演女優賞部門は、「哀れなるものたち」のエマ・ストーンが「ラ・ラ・ランド」(2017)に続き2度目の受賞を果たし、「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」のダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞で初オスカーに輝いた。印象に残ったスピーチを振り返る。 【フォトギャラリー】第96回アカデミー賞の授賞式&レッドカーペットの模様 ▼監督賞:クリストファー・ノーラン「オッペンハイマー」 たくさんの方々のおかげで今ここに立っています。ユニバーサルのみなさん、この映画の可能性に気づいてくださりありがとうございました。 私の全作品と子どもたちのプロデューサーである素晴らしい(妻の)エマ・トーマスに感謝します。愛してるよ。 映画の歴史はまだ100年ちょっとですが、絵画でも演劇でもその100年を想像してみると、この旅が今後どこへ向かうのかはわかりません。それでも、アカデミーのみなさんが映画界で私が意義ある役割を果たしていると認めてくださったことはこの上ない喜びです。 ▼主演男優賞:キリアン・マーフィ「オッペンハイマー」 クリストファー・ノーラン、エマ・トーマス、この20年でいちばんのワイルドでクリエイティブな旅に出ることができました。言葉にならないほど感謝しています。全てのキャスト、スタッフのおかげでもあります。 私たちは原爆を作った男についての映画を作りました。良くも悪くも、私たちはみなオッペンハイマーの世界に生きています。この映画をあらゆる場所にいる平和を追求する人々に捧げたいと思います。 ▼主演女優賞:エマ・ストーン「哀れなるものたち」 さっき私のドレスが破れました。きっと「I’m Just Ken」の時です。私の声もちょっと割れています。あまりにも感激してしまって……。今ステージにいる女性(プレゼンターを務めた歴代受賞女優)たち、そして同じ部門にノミネートされた女性たち、みんな素晴らしい人たちです。サンドラ(・ヒュラー)、アネット(・ベニング)、キャリー(・マリガン)、リリー(・グラッドストーン)、あなた方とこの賞を分かち合いたいと思います。 先日の夜ことですが、今もご覧になっている通り、私はパニックになってしまいました。すると、ヨルゴス(・ランティモス監督)に距離を置いて客観的になるんだと言われました。その通りです、だって私一人ではなく、チームで力を合わせてこそ優れたものが出来上がるのだから。それが映画作りの醍醐味です。この映画を愛と情熱を注いで一緒に作った全てのキャスト、スタッフとこの賞を分かち合いたいと思います。ヨルゴス、ベラ・バクスターという一生に一度のギフトを授けてくれてありがとう。 ▼助演男優賞:ロバート・ダウニー・Jr.「オッペンハイマー」 まずは自分のひどい子ども時代、そしてアカデミー、この順に感謝したいと思います。 私の獣医、つまりそこにいる妻のスーザン・ダウニーにも感謝したいと思います。彼女はうなり声をあげて助けを求めているペットの私を見つけ、愛し、息を吹き返させてくれました。だからこそ私は今ここにいます。 クリストファー・ノーラン、エマ・トーマス、キリアン(・マーフィ)、エミリー(・ブラント)にも感謝します。実を言うと、この作品が私を必要としている以上に、私がこの作品を必要としていました。クリスはそれを見抜いていました。エマが私のそばに最高のキャストやスタッフを揃えてくれました。エミリーにキリアン、素晴らしかったです。おかげで私は昔よりマシになって、こうしてみなさんの前に立っています。私たちのやることには意義があり、作ると決めたものには重要な意味があります。 私のエンターテインメント担当の弁護士トム・ハンソンは、40年の付き合いのうち半分を保険加入やら刑務所からの保釈に費やしてくれました。恩に着るよ。 ▼助演女優賞:ダバイン・ジョイ・ランドルフ「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」 私はずっと長いこと、違う人間になりたいと思っていました。そして今気づいたのは、ただ自分らしくいるべきだということで、私という人間を見てくださるみなさんに感謝します。 自分がこの仕事をキャリアとして続けて良いのか疑問を持っていました。私は歌手としてスタートしましたが、母からこの通りの向こうにある演劇科に行きなさい、そこにあなたのやるべきことがあると言われました。そう言ってくれた母に感謝します。そして私のそばで根気よく寄り添い、導いてくれた全ての方々に感謝します。 ▼国際長編映画賞:ジョナサン・グレイザー監督「関心領域」 私たちの映画は、人間性の抹殺が最悪の事態を招くことを描いた作品であり、私たちの過去と現在のすべてがそうして形作られています。イスラエルでの10月7日の犠牲者であろうと、現在進行中のガザ攻撃の犠牲者であろうと、すべてがこの非人間化の犠牲者なのです。 ▼視覚効果賞:山崎貴監督「ゴジラ-1.0」 40年以上前に「スターウォーズ」と「未知との遭遇」を見たショックからキャリアをスタートさせた私にとって、この場所は望む事すら想像しなかった場所でした。ノミネートの瞬間、私たちはまさにロッキー・バルボアでした。強大なライバルたちの前でリングに立たせてもらえた事はすでに奇跡でした。しかし私たちは今ここにいます。この場所から遠く離れたところでVFXを志しているみんな! ハリウッドが君たちにも挑戦権があることを証明してくれたよ! 最後にスタッフキャストを代表して、去年失った我々のプロデューサー、阿部秀司さんに言いたいです。「俺たちはやったよ!」と。ありがとうございました! ▼短編アニメーション賞:ショーン・レノン製作総指揮・共同脚本「War Is Over! Inspired by the Music of John & Yoko(原題)」 手短に言わせてください。母はこの2月に91歳になりました。今日はイギリスでは母の日なので、どうかみなさんも一緒に言ってください。ヨーコ、母の日おめでとう!