高橋藍「バレーボールを夢のあるスポーツに」サントリー入団会見 国内最高年俸1億円超か「BOSS」CM起用も
バレーボール男子日本代表のアウトサイドヒッター・高橋藍(らん、22)は28日、都内でサントリーの入団会見に臨んだ。3季プレーしたイタリア1部から電撃移籍し、「バレーボールを夢のあるスポーツにしたい」と力説した。7月1日からの単年契約。年俸は非公表とされたが、栗原圭介GM(47)は「おうちを2つ買える」という夢のあるオファーと語り、国内バレー選手最高峰の推定1億円超えの可能性も出てきた。パリ五輪後の10月に新たに開幕するSVリーグに参戦し、名実共にリーグの“顔”となって盛り上げる。 赤のネクタイを締め、熱い言葉を響かせた。背番号12のユニホームに袖を通した藍は「(サントリーの創業精神)“やってみなはれ”の精神で、クラブでも代表でも世界一を目指します」と力強く語った。契約年は「一年一年、勝負したい」との藍の希望により単年に。3季戦った伊1部から移り「選手としてさらに進化するための挑戦」と掲げた。 国内男子バレー選手の平均年俸は800万円前後とされる。藍の年俸は非公表だが、栗原GMは「バレー選手に夢を持ってもらえる。東京では難しいかもしれないが、家が2つ買える。他のプロスポーツにひけを取らない」と語り、推定1億円を超える国内最高峰の契約の可能性も否定しなかった。 日本、伊1部、ポーランド、トルコといった国内外の多数クラブからオファーがあり、イタリアと日本で迷った中、大阪が拠点のサントリー入りを決断した。決め手は2つ。1つは「世界一を目指せるチーム」であることだ。昨年の世界クラブ選手権で銅メダル。栗原GMは2、3年前から藍にオファーを出し続けた。藍はチームに在籍する兄・塁(24)にも相談し、イタリアまで口説きに来た同GMの「一緒に世界一を目指したい」との言葉が決め手となったという。 もう一つの理由は「バレーボールを夢のあるスポーツにしたい」との思いだ。パリ五輪後の10月に始まるSVリーグへの可能性も感じている。国内で人気の野球やサッカーを思い浮かべ「バレーもそこに並ぶ、超していく」。そのために、日本の観客の前でプレーし「子供たちに見に来てほしい」と魅力を伝える。 インスタグラムのフォロワー数はバレー界屈指の約202万人。「影響力がある」とサントリーは、同社製品のCMへの起用も示唆した。コーヒー好きの藍は同社ブランドの「BOSS」がお気に入りで「顔のロゴは高橋選手バージョンに?」と振られると「そうなればうれしい」と笑った。日本代表が参戦して開催中のネーションズリーグは、6月4日開幕の北九州ラウンドから参戦予定。人気実力を兼ねた22歳が日本の“顔”として、獅子奮迅の活躍で盛り上げる。(宮下 京香) ◆高橋藍に聞く ―日本でプレーする決断の背景は。 「家族に相談し、塁にはチームの話を聞いた。その環境でどう努力していくかが成長に関わると感じ、新しい挑戦をしたいと思った」 ―チームにもたらしたいものは。 「世界の高さや海外選手の意識(の高さ)を経験した。年齢は関係なくコートに立つ人が引っ張っていくことが世界一になるために重要。イタリアで経験した意識のところで貢献したい」 ―バレーボールを夢のあるスポーツにするためには。 「トップ選手を目指していくことはもちろん、日本でプレーし、いろんな形で新たな挑戦ができれば、バレーを知らない人や子供たちに知ってもらえたり。身につけているものも、子供たちにバレーをやると夢があるなと思ってもらいたい」 ―大阪での思い出は。 「地元が京都なので、家族で大阪によく遊びに行きました。なんばグランド花月に吉本新喜劇を見に行ったり。そこで霜降り明星のせいやさんに出会ったり」 ◆主な国内プロスポーツの日本人最高額選手 ▽野球 今季の日本人最高年俸は坂本勇人内野手(35)=巨人=、村上宗隆内野手(24)=ヤクルト=の推定6億円。 ▽サッカー J1では大迫勇也(34)=神戸=の推定4億円。 ▽ゴルフ 国内男女の昨季の獲得賞金額では、女子は山下美夢有(22)=加賀電子=の2億1355万4215円、男子は中島啓太(23)=フリー=の1億8498万6179円が最高。 ◆サントリーサンバーズ 1973年4月に設立し、本拠地は大阪・箕面市。サンバーズは「燦然(さんぜん)と輝く太陽に向かって羽ばたく、不死鳥のように」の意味。Vリーグでは04年に5連覇、23―24年季制覇など10度の優勝。昨年12月の世界クラブ選手権で日本勢初の銅。SVリーグにはサントリーサンバーズ大阪として参戦する。日本代表のミドルブロッカー・小野寺太志、藍と同じアウトサイドヒッターのデアルマス・アラインらが所属。
報知新聞社