全国130書店を巡ったふわはねさんが痛感した「本屋さんはずっとそこにあるとは限らない」
本屋さんではないのですが、同じく高知県の「雲の上の図書館」も素晴らしかったです。隈研吾さんが設計をした図書館なのですが、ペタペタと裸足で歩ける木の空間が心地よくて。館内には、町内で活動している障害支援グループの皆さんが運営するカフェがあって、手作りのケーキが食べらます。本だけでなくボードゲームが置いてあったりと、色々な楽しみ方ができる図書館でした。 他にも素敵な場所は選べないほどたくさんあって……。『えほんとりっぷ』に載っている本屋さんは、すべて同じ熱量で語れると思います。
もし本屋さんを作るなら、人が集う空間にしたい
――現在ご自宅を「絵本のアトリエ」として開放されていると思うのですが、それとは別に、これからご自分で本屋さんをつくるとしたらどんなお店にしたいですか? 私は"絵本のつなぎて"として、本を作る人と読む人、親と子、本が好きな人同士が繋がることを目指して活動しているので、人が集う空間としての本屋さんがいいなと思っています。 本屋さんに足を運ぶ人が、必ずしも毎回本を買うわけではないと思うんです。なので、本だけでなく一緒にコーヒーやパンが買えるようにしたりと、散歩の終着点になれる場所になったらいいなと。立ち寄ったお客さんに、「こんにちは」「今日もお疲れ様」と声を掛け合える空間が理想です。 お客さんのそれぞれの「好き」が集まる場所にしたいとも思います。例えば、「公園に行く」という話になったら、草花あそびの本を紹介したり……。地域のコミュニケーションの場にたまたま本がある、といった雰囲気の場所になったらいいなと考えています。
人と本との出会いには、それぞれの物語がある
――『えほんとりっぷ』を読んだ人、これから手に取ろうと思っている人へメッセージをおねがいします。 今はネットでポチッと注文すれば、翌日にピカピカの本が届く時代です。 でも私は本を手に取ると、その本をどこで買ったか、そのお店のどこに置いてあったか、店主さんと何を話したかなどを思い出すんです。本って家に来るまでに、もう物語が始まっていると思うんですね。 なので皆さまも、ぜひ『えほんとりっぷ』と一緒に、その物語を作ってほしいと思います。 残念ながら、この本を作る過程で、閉店などにより掲載できなくなった本屋さんが3店舗あります。本屋さんはずっとそこにあるとは限らないのだという、厳しい現実が見えてきました。 だからこそ、私は本屋さんで本を買ってほしいと強く思うのです。応援する、と言ったらおこがましいですが、この本が本屋さんに足を運ぶきっかけになったら嬉しいです。 なかなか本屋さんへ行けない人でも、この本を見て「いつか行ってみたいな」とわくわくしてもらえたら嬉しいです。目標ができると楽しみが増え、元気になれると思うので。 この本にはコロナ禍以降にできた新しい本屋さんも掲載されています。長年続く老舗から新しいお店まで、さまざまな本屋さんを楽しんでいただければと思います。 (取材・文/nobico編集部)
ふわはね(絵本講師)