「年金納付5年延長」大改悪の批判は的外れ、60歳以降も働くサラリーマンには“得”しかなかった!
◆「60歳以降働かない人」の場合 60歳でリタイアし、働く予定がない人にとってみれば、5年延長案は支出増になる。5年間の保険料総額は約100万円なので、老後の生活設計の見直しが必要になるかもしれない。 選択肢としては、次の2つがある。 (1)将来の年金額が増えるなら、無職であっても保険料を払い続ける (2)働かないので所得がない(または低い)ので、保険料免除を申請する 国民年金には保険料を納めることが経済的に困難な場合、保険料免除制度が設けられている。申請をして承認されると保険料の全額または一部が免除される。 ここで知っておきたいのは、免除を受けても半額を受け取ることができるということ。なぜなら、基礎年金の2分の1は国庫負担(税金)で賄われているからだ。 5年延長が実現し、5年間全額免除を受け保険料を支払わなくても、免除を受けた分の半額は給付増になる。無職だから払えないと、保険料を払わず放置するのはNG。半額受け取るには免除申請の手続きすることが肝心だ。 このように仕組みを見ていくと、誰にとっても悪い話ではないことが分かるはず。特に年金の話題は、「年をとった時、どうせもらえない」、「年金制度は破綻する」など、先入観を持っている人が多く、改正案をナナメに見る傾向がある。 しかし、ナナメに見てしまうと、見えるはずの正しい景色が目に入らないので、損なことだ。 今年は5年に一度の年金の健康診断にあたる財政検証の年。今回は国民年金の5年延長案に絞って解説したが、他にも議論されていることがある。 年金制度を維持していくために財政検証をし、必要に応じて改正をしていく。今後の年金関連のニュースは、決してナナメに見ないことをお勧めする。
深田晶恵