「年金納付5年延長」大改悪の批判は的外れ、60歳以降も働くサラリーマンには“得”しかなかった!
◆「60歳以降も厚生年金に加入して働く会社員・公務員」の場合 当コラムの読者の該当者も多い「60歳以降も会社員等で働く人」にとって、冒頭で述べたように、5年延長案は「いいこと」ばかりだ。 会社員・公務員は厚生年金に加入していると同時に国民年金にも加入している。このため、5年延長案が実施されても厚生年金に加入している限り、保険料負担が増えることはない。 一方で、年金額は増える。 会社員になったのが22歳で、20歳から大学卒業までの2年間国民年金保険料を納めていないAさんを例に見てみよう。 60歳時点で厚生年金と国民年金の加入期間は38年間。60歳以降、5年間厚生年金に加入して働くと、もちろん収入に応じて厚生年金が増える。それどころか、大学生の時の2年間、国民年金が未払いだった分も増加する。 ただし、基礎年金として増えるのではなく、厚生年金の「経過的加算」として増額になる(ねんきん定期便で確認しよう)。現行制度では、「国民年金の加入は原則60歳未満」なので、基礎年金として増えるわけではないのだ。このあたりがややこしい。 Aさんが60歳以降5年間、厚生年金に加入すると、国民年金の未払いだった2年分の増額があるが、加入期間は40年間が上限なので、残り3年分の増額はない。厚生年金加入者は、国民年金保険料も含んで保険料を納めているのに、「40年」になった時点で、残りの期間について基礎年金相当額は反映されない。なんだか残念な仕組みだ。 しかし、国民年金の納付期間が40年から45年に延長になると、先の残り3年分も年金額に反映され、受給額が増えることになる。65歳まで働けば、基礎年金相当額だけで年額10万円(2万円×5年)増額する。 Aさんがその後も働き続けると、45年に達する67歳まで基礎年金相当額が増えることになる。 繰り返しになるが、60歳以降、厚生年金に加入して働く人は、5年延長案が実施されても保険料支払いに変化がない(負担が増えない)。でも、受給額は増える。だから、「いいことしかない」のである。 50代のみなさん、60歳以降も働くモチベーションが上がりますね!