【痴虫】トップウォータープラグにチャターブレードが付いたら驚きの釣果が!!【イジリープロトもお披露目!】
Zマンの「チャターベイト」が全米を席巻する以前から、ルアーデザイナーたちは知恵を絞り、工夫を凝らしながら多彩な「ブレードルアー」をフィールドに送り出してきた。当たりハズレも激しいけれど、10年後のスタンダードになりそうなアイデアが光るアイテムも登場している。もちろんそれは日本でも同様。個性派ブレード系ルアーを手掛けた日本のビルダーたちを紹介していこう。 【画像】個性派ブレード系ルアー《プロト含6種》写真ギャラリー
語り手/松本光弘(まつもと・みつひろ)
『痴虫』ルアービルダー。ハンドメイドの「海馬」「カブメス」シリーズなどを経て、2021年に初のインジェクションモデル「プラカイバードミニ」を発表。今年は第2弾の「牛ネズミ」をリリースし高い評価を受けている
高速リトリーブに飛び出す相模湖のバスたち
数年前から房総のリザーバー、おもに亀山湖に通う頻度を増やして、のむらボートハウスの大会などに出場してきました。そのなかで初めて気づいたことがあります。 痴虫では「海馬」のシリーズを中心にしたトップウォーターを作り続けてきたけれど、これはおおまかに言えばロール系のアクションです。その一方で、ボディーがうねるような動き、ウォブル系のルアーがほとんどなかった。クランクベイト抜きで、スピナーベイトだけで戦っているようなものです。 房総はステイン寄りの水質なので、バスに存在を気づかせたりスイッチを入れるためには、どうしてもクランク的なルアーが必要になる。そう感じていたころに作ったのが「イジリー」でした。 ブレーデッドジグの凄さは以前から認識していたのですが、ウチはトップウォーターのブランドなので、すぐ製品に取り入れることはできなかった。そもそもチャターは水面を引くことができません。上に設置されたブレードで水を受けているので、水を割ってしまうと泳ぎが破綻する。 じゃあ、これを上下逆さまにして、ブレードをリップみたいに使うことはできないか?当初はアルミブレードでテストしていたんですが、ステンレスに変えたとたん、「これは凄いルアーになる」と確信しました。 ボディーはいろんな形を考えたのですが、棒状のものにしたほうがブレードのアクションに対する追従性がよかった。板のようなフラット形状に近づけると、ウォブルの往復運動がうまく起こらなかったりするんです。 最終的には棒状のイジリースティック95と、ボディーが丸っこいイジリーバグ55の2タイプを製品にしました。 スティックのほうは、ブレードを付ける位置によって泳ぎの質が変わることが開発中に判明して、どちらも捨てがたいアクションだったので「ワイド/タイト」の2タイプを作ることにしました。 そんなわけで、房総リザーバーを見据えて作ったこのイジリー・シリーズですが、最近になって相模湖や津久井湖といったクリア寄りのフィールドでも出番が増えています。 2022年のH-1グランプリでは相模湖でキロフィッシュを含む1840g(2尾)をウエイインすることができました。どちらもイジリースティック95(タイト)をハイスピードで巻く、という手法です。 もともと僕は「遅く動かしても機能するルアーを作ろう」という意識でルアーを作ってきました。わずか30cmのあいだでどれだけ誘ってくれるか、そこの勝負だと考えていた。 イジリースティックもその条件をクリアしているんですけど、同時に、ある程度の速いスピードでリトリーブしても破綻しづらい性能を備えていたんです。「タイト」なら、普通のバズベイトぐらいの速さは充分にこなせます。 そして、そのスピードがクリアリザーバーで効くことが徐々にわかってきた。相模湖だったら、オーバーハングのエッジに沿ってボートを流しながら、あらゆる隙間を探してシェードの奥に撃ち込んでいく、というのが基本的なアプローチです。ほかの人が通していないような狭いスポットほど反応をもらいやすいですね。 もうひとつ大事なのがタックルで、僕はクランクベイトを扱うような軟らかめのレギュラーテーパーを使ってます。イジリースティックを高速で巻いていると、急にバスが現れて一瞬だけ追尾して、そのままくわえて反転せずに横走りするバイトが多いんですよ。グラスや低弾性のロッドに頼るようになってから、キャッチ率が目に見えて上がりました。 個人的には「速巻き」ってあんまり好きじゃないんです。無理やりスピードアタックで反応させるしかないのは、末期な感じがする。もっと別の方法でバスを反応させられないか、そういうことを常に考えてます。