体長2メートル以上!巨大魚「カクレマンボウ」が浜辺に出現してネット驚愕
去る6月3日、アメリカ・オレゴン州ギアハートの海岸に巨大な魚が打ち上げられた。 ぷっくりと膨らんだ楕円形の体と、ばっくり口を開け少しとぼけたような顔を持つこの魚の体長はなんと2メートル21センチ! 砂浜に横たわった状態で発見されたことを、シーサイド水族館(オレゴン州・シーサイド)が発表した。 【写真・動画】体長2メートル以上!巨大魚「カクレマンボウ」 打ち上げられた日は嵐だったものの、この巨大かつ奇妙な外見の魚はSNSで評判となり、見物しようとする人たちがビーチに集まってきたという。 顔や体型から「マンボウ(Mola mola)」のように見えるため、シーサイド水族館の統括責任者であるキース・チェンバースさんも「最初はよくいるタイプのマンボウだと思った」と語っている。
しかしこの巨大魚のニュースはほどなくしてニュージーランド在住の海洋学者であるマリアンヌ・ナイガードさんにも届いた。彼女は水族館がFacebookに投稿した写真から、「マンボウ(Mola mola)」ではなく「カクレマンボウ(Mola tecta)」であることを確認。シーサイド水族館によるとこれまで採取された「カクレマンボウ」の最大の標本であると言う。 ナイガードさんは2017年に発表した研究で、遺伝子サンプルの採取と観察により「カクレマンボウ(Mola tecta)」が「マンボウ(Mola mola)」とは異なる種であることを明らかにした人物。これにより「カクレマンボウ」は新種として認定された。
6月21日にはナイガードさんが実際にこの海岸に出向き、「カクレマンボウ」のサンプル採集を行った。 この種のマンボウは、以前は南半球の温帯海域にのみ生息すると考えられていた。しかし2019年にカリフォルニア沿岸に打ち上げられる等、近年数匹がカリフォルニアの海岸に打ち上げられ、1匹がアラスカにまで達したことから、シーサイド水族館は「(南半球のみに生息するという)説は疑問視される」とコメントしている。 静かな海辺の町に大きな賑わいを見せた巨大魚の出現。通常のマンボウよりも皮が堅いことから、時間をかけて腐食動物が皮に穴をあけていく。このカクレマンボウは撤去されることなく海岸におかれたままであるため、形を変えていく模様も含め地域住民は観察することができるそうだ。
文:宮田華子