驚きの切れ味!ペグハンマーにもナイフにもなるOLIGHTの手斧「Otacle A1」
マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。 男前なマルチツールの魅力を紹介する連載第44回は、OLIGHT「Otacle A1」(実勢価格:1万395円)です。 【製品の詳細画像を見る】 OLIGHT(オーライト)は、ワールドワイドに展開する中国の懐中電灯メーカー。近年はナイフやマルチツールなどのハンドツールも多く展開しています。堅実な設計と脅威の性能を有したライトは、日本でも人気のブランドです。今回紹介するアイテムは、OLIGHTが力を入れるハンドツールの中でも異色のマチェットになります。
■フルタングの剛健な構造とシルエット
全長34cmの“50Cr15Movステンレス鋼”製ボディを滑り止め加工されたG10樹脂でサンドしたハンドル。人間工学に基づいたシルエットはさまざまな持ち方を想定したカタチになります。重量約735gと、手斧としては充分な重さです。 箱出し状態でも驚くほど切れました。この手の手斧としては切れ味が良すぎるのでは?と疑問に思うほど。酷く硬いものを叩けば刃がこぼれますが、適度な靭性を持った鋼材を使用しているので研ぎ直すことも可能です。 刃とハンマーの間にある直径2cmの穴はフック掛けに便利。それだけでなく、この穴に人差し指を通せば、切れ味抜群の刃をナイフのように使えます。ハンドルのネック部に指がかかりやすく掴みやすい。手斧でありながら細かい作業もこなせます。 手斧だけに、ナイフでは難しい節が入った木でも簡単に割れます。ハンマー部分をバトニングすることで薪割りの作業は捗りますね。 また鋭い切れ味と適度な自重を利用して、ナイフでは切断が困難な物でも簡単に切れます。手斧は必ずしも切れ味が鋭いものではありませんが、この製品はひと味違います。 ハンマーフェイスは肉叩きを連想させる形状。重さを利用してペグなどを打ち込めます。手頃な枝を斧で折り、鋭い刃で先端を作り、ハンマーでペグとして地面に打ち込む。そんな一連の作業をこのツール一本で行えるというわけです。 また尾部には釘抜きやペグを抜く際に便利なバールが付いています。緊急時に扉をこじ開けなければならない時などにも活用できます。 シースはカイデックス樹脂製。ガチャっと嵌めて斧に覆いかぶせます。適合性は良く、2本のホック式ベルトで完全固定するのですが、ベルトを付けていなくても簡単に自重で落下することはありません。刃を完全に覆うので安全に持ち運びができ、他の物を傷つける心配もありません。 裏面にはブレードテック社風の開閉式のベルトモールがついており、パンツにベルトを通した後でも装着が可能です。 斧をリリースする際は、2本のホック式ベルトを外し、ハンドルを持って下に引き抜きます。インサートは逆に下から上に行いますが、意外とすんなりと入ります。カイデックスなので汚れても洗うことができ、引き抜く時のガチャという音がやる気をそそります。 ハンドルのカラーリングは3色。今回紹介したオレンジの他にアーミグリーンとデザートが用意されています。ミリタリーな風合いが好きな人にはそちらがおすすめ。オレンジも落ち着いた感じでありながら視認性に優れています。 手斧としてはもちろん、ハンマー、バールとしても必要十分な性能と実用性を持っていると思います。斧としては多少鋭すぎる面もありますが、それも魅力のひとつ。これがあれば、キャンプではペグハンマーやナタといったアイテムを減らすことができます。見た目にもかっこよく使いやすいマチェットです。
<取材・文/GOL>