2024年の選挙が示した政治不信とネット選挙の可能性
2024年選挙から得られる教訓と今後の選挙戦略
来年以降の選挙の在り方を考えるために、今年1年の選挙における良かった点と悪かった点を総括しましょう。 良かった点は投票率の向上と投票する層の変化です。投票率は戦後低下の一途をたどってきていますが、都知事選や兵庫県知事選では投票率が上がりました。さらに、出口調査の結果と突き合わせると、これまで投票意欲が低いと言われてきた「無党派層」が1票を投じたことも伺えます。 一方の悪かった点としては、誤情報やデマとされる情報が出回ったことで有権者の混乱を招いたケースも散見されたことです。 以上を踏まえて、次の3点が論点になると考えています。 1、選挙報道を質と量の両面から向上させる 2、一次情報を充実してフェイク情報に対抗 3、上記を踏まえた公選法の改正 1は私たちメディアの反省も込めています。これまで文字数や時間などを指標にしてきた「公平性・中立性」を見直し、有権者が投票に行くために必要な情報を再定義する必要があります。 2には政治家・立候補者の努力が求められます。メディアシフトによってネット上で公約や政策を検索する人が増加傾向にある中で、自分の言葉で分かりやすく説明することへの需要が高まっています。さらに、「自身が」「選挙前」から政治信条や政策に関する情報を発信しておくことは、選挙期間中に誤情報を流された際の対抗策にも使える可能性があります。 来年は投票の質を高めるためにネット選挙をどう進化させていくべきかを、私たちメディア、政治家、有権者の三者がそれぞれ考える1年にできたらと思っています。 (選挙ドットコム編集部 伊藤由佳莉)