【漫画家に聞く】ひきこもり少女が最後に「ママぁ…」と涙したのはーーXに投稿されたノンフィクション漫画に反響
テクノロジーの進歩とは裏腹に闇も蔓延る現代社会。その中でも家族にまつわる問題にスポットを当てた漫画が『「子供を殺してください」という親たち』だ。 ノンフィクション漫画『最後に「ママぁ…」と涙するひきこもり17歳の話』(『「子供を殺してください」という親たち』より) そして本作からエピソードを抜粋した『最後に「ママぁ…」と涙するひきこもり17歳の話』がXにも投稿されている。妹に暴力を振るう少年、しかし彼がいなくなった途端に問題を起こす妹――。一体問題の根本は何なのか。 綿密な取材に基づく、この骨太なノンフィクション漫画について作画担当・鈴木マサカズさん(@suzukimasakazu)に話を聞いた。 ――Xに投稿した経緯や手応えは? 鈴木マサカズ(以下、鈴木):大きな反響がありました。ただ、いきなりショッキングな場面があるケースではないので意外にも感じましたね。もしかしたら何かしらの「身の覚え」を感じる方が多かったのかもしれません。 ――『「子供を殺してください」という親たち』の作画を担当することになった経緯は? 鈴木:現担当さんからオファーをいただいたんです。その日のうちに電子書籍で原作を購入し、むさぼるように読破しました。連載準備中の漫画があったのですが、それと並行してでも描きたいなと。 まずはタイトルのインパクト、そしてそれに負けない内容のインパクト。これはすごいものを漫画にできるチャンスを得たと思いました。 ――押川剛さんによる原作をどう作画に反映させていますか? 鈴木:原作の細かいディテールを汲み取ること、それの妨げになるような演出は避けること。これらを強く意識して反映するよう努力しています。 ――「家族」という概念がずいぶん難しくなっている現状を感じますが、鈴木さん自身はどう思われます? 鈴木:他所様のご家庭に関してはわかりませんが、自分にとっての「家族」とは荒波を航海する海賊団みたいなものです。みなで作戦を練り、みなで船の行先を決め、みなで報酬を分ける運命共同体。 ドラクエの「パーティ」といってもいいかもしれません。家族でレベルアップしながら頑張るのはRPG的な楽しみがあります。自分にとって「家族」とはそういうものです。 ――本作はダークな内容ではありますが、描いていて辛くなる時などはありませんか。 鈴木:よく聞かれますが、そういう瞬間はまったくありません。楽しいといっては語弊がありますが、興味のあることを描ける喜びのみがあります。ただ「スタッフは大丈夫かな」とたまに思いますが……(笑)。 ――Amazonのレビューでも高評価が多いですが、人気の要因をどう考えておられますか? 鈴木:原作者、漫画家、編集者。チームとして全員の思惑がうまく噛み合っているんだと思います。奇跡のチームバランスだと常々思っています。 ――今後本作をどう描いていきたいですか? 鈴木:先日チームで食事会をした時に、押川さんがとても魅力のあるネタについて話してくれました。まだまだ“先”があるようです。ですが、こちらは変わらぬ気持ちで漫画にするのみです。
小池直也