「本業だけで年収500万円」と「本業400万円+副業100万円」の収入では、手取りはどれくらい違いますか?
物価の高騰が原因で「生活が苦しい」「将来が不安」などの声が聞かれる昨今、お金を増やしたい人の間で「副業」が注目されています。すでに副業をしている人や、検討している人も多いでしょう。 一方で、資格の取得や高収入の会社への転職によって、本業の収入を増やそうと考える人もいます。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる? 実際に、本業で収入を増やす場合と副業をする場合では、どちらが得なのか気になるところです。今回は「本業だけで年収500万円の人」と「本業年収400万円+副業年収100万円の人」では、どちらの手取り額が多いのかを、詳しく解説します。
「本業で年収500万円の人」と「本業400万円+副業100万円の人」の手取り額
「本業で年収500万円の人」と、「本業年収400万円+副業年収100万円の人」の手取り額を、それぞれ計算してみましょう。 税金の額は人によって異なるため、今回は「40歳以下かつ扶養家族がいない人で、副業の経費はなし、確定申告は青色申告で行う」場合を想定して計算します。表1が、計算の結果です。なお、実際の数字は概算であり、勤務先や年齢、居住地によって異なります。
<表1> ※筆者作成 計算の結果、「本業のみ年収500万円の人」の手取り額は386万500円、「本業400万円+副業100万円の人」の手取り額は407万8500円となりました。「本業400万円+副業100万円の人」の方が、22万円程度手取り額が多くなります。
「本業のみ」と「本業+副業」は手取り額が異なる理由
「本業のみ」と「本業+副業」で手取り額が異なるのは、控除額と税金に違いがあるためです。それぞれどのように違うのか、1つずつ解説します。 ■控除額の違い 給与からは、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除などが控除され、人によっては扶養控除や配偶者控除などもあります。 この中で、給与所得控除と社会保険料控除は、会社からもらう給与にのみ適用されます。ただし、副業で開業届けを出し、青色申告で確定申告をする場合は、条件を満たせば青色申告特別控除が適用され、課税額を大幅に減らすことが可能です。 なお、副業収入は雑所得もしくは事業所得となります。副業で経費が発生した場合、収入から経費を引いた額が雑所得(事業所得)です。 また、雇用契約がない副業の場合は社会保険料が適用されませんが、給与として収入を得た場合は、社会保険料などに変動があるため注意が必要です。 ■税金の違い 「本業のみ」と「本業+副業」では、控除額に差が出るため、税金の額も異なります。税金は、控除額を引いた「課税所得」によって決まります。 所得税は、課税所得額が多くなるに従って段階的に高くなる「累進課税制度」を取っており、今回は「195万円から329万9000円まで」に含まれるため、税率は10%で、控除額が9万7500円でした。 今回のように本業収入のみで500万円の場合は、「231万円×10%-9万7500円=13万3500円」、本業収入500万円+副業収入100万円の場合は「202万円×10%-9万7500円=10万4500円」です。なお、収入によっては、税率が最大で45%まで上がります。 住民税は、居住地によって異なりますが、基本は課税所得×10%+ 4000円です。(2024年から均等割の場合は森林環境税1000円が上乗せされる)