富士山が7月1日山開き“有料化”と“通行規制”の大改革 新ルールを知らないと山頂到達前に「強制Uターン」の憂き目も…?
”安全対策費”として、入山料2000円を義務化
もっとも、通行規制にあたり、富士山5合目に幅約8メートル、高さ1.8メートルの登山者数管理用のゲートを新たに設置、規制人数管理にともなう人件費等も発生する。そこで、安全対策等の必要経費として、登山者からの通行料2000円と協力金1000円(任意)を徴収することになった。 通行料2000円は、任意でなく「義務」だ。こうした費用の徴収や登山者数制限などを盛り込んだ条例案は3月4日の山梨県県議会で全会一致で可決・成立している。 登山者の秩序と安全を守るために、初めて規制がかけられた富士山。ある意味必然といえる一方でこれまでのように思い立って、ふらりと富士登山を楽しむことはできなくなるかもしれない。人数規制がかかり、行ってみたら、「もう入山できません」という事態も想定されるからだ。
通行規制による不便解消に予約システム新設
この不便・不満解消に新たに設けられたのが、通行予約システムだ。「富士登山オフィシャルサイト」からネットで登山の予約(電話予約不可)ができる。 宿泊予約のように、空き状況がカレンダーに表示されており、使い勝手はいい。ただし、この予約時点で通行料と協力金の決済が求められ、キャンセルしても返金されないので注意が必要だ。 現時点(6月29日)では「残りわずか」が数日あるが、ほとんどは「空き有り」となっている。 なお、万一、予約で4000人に達した場合でも、当日受付分として1000人分が確保されている。従って、「せっかく行ったのに門前払い」にはならない。とはいえ、予約なしなら受付のある5合目にはできるだけ早めに行くことが賢明だ。 参考までに、コロナ禍の2020年~2022年を除く過去4か年の実績で1日の登山者数が4000人を超えたのは2017年17日、2018年12日、2019年10日、2023年5日となっている。
暗黙のルールで守られてきた山の秩序
登山中にすれ違う際は、「おはようございます」「こんにちは」などのあいさつをする。下山中に登りの登山者とすれ違う際は、登る人に道を譲る。ごみは捨てずに持ち帰る…。富士山に限らず、登山には暗黙のルールがあり、それによって山の秩序は守られてきた。 世界の最高峰に目を向ければ、エベレストは入山料100万円以上、南米最高峰のアコンカグアは10万円前後、アフリカ最高峰のキリマンジャロも10万前後といわれる。山の秩序と安全を維持するには多大なコストがかかる。そうした点からも、日本の最高峰はこれまで登山者にあまりに寛容すぎた。 ようやく規制と入山料がかかるようになったが、遅すぎたくらいだろう。多くの登山者も”負担増”に好意的との調査結果もある。世界遺産にも登録されている日本の至宝。今回の大変革を機に、その価値を一歩一歩踏みしめながら山頂を目指す登山者が増えれば、「Mt.Fuji」はまずます世界に誇れる山として価値が高まるはずだ。
弁護士JP編集部