Z世代は「怒られない職場」に何を思っているのか 当事者不在が生み出すディスコミュニケーション
若者と接する場面では、「なぜそんな行動をとるのか」「なぜそんな受け取り方をするのか」など理解しがたいことが多々起きる。 企業組織を研究する東京大学の舟津昌平氏は、新刊『Z世代化する社会』の中で、それは単に若者が悪いとかおかしいという問題ではなく、もっと違う原因――たとえば入社までを過ごす学校や大学の在り方、就活や会社をはじめとするビジネスの在り方、そして社会の在り方が影響した結果であると主張する。 Z世代を通して社会構造を読み解く舟津昌平氏 本記事では、著者の舟津昌平氏がZ世代の東大生3名に対して、世で語られるZ世代像へのリアルな意見を聞いていく(3名は仮名、敬称略)。
■Z世代は怒られ慣れてないって言われるけど… 舟津:今日の座談会のテーマは、世の中で「Z世代ってこうだよね」と、虚実ないまぜで語られることに対して、Z世代の方々が実際どのように思われているかを伺うことです。 まずは、代表的なステレオタイプの1つとして、「怒られ慣れていない」とか、「怒られるのを過剰に嫌がる」と言われていますが、それに対して、ご自身でもいいし、周りを見ていて思うことがあれば、感想を教えていただけますか。
原田:「怒られたくない」というのは、自分自身にもあてはまるところがあります。それは言葉を変えると、怒られることによって、自分の足りないところや欠点を見つめること、自分の内面を変えなければいけないことに怖さを感じているからだと思います。 そうした怖さがどこから生まれるのか確信は持てないですが、SNSで他人を見る機会が多いことが関係しているのかな、と考えています。つまり、SNSで炎上している人たちを見て、その炎上に加担することはないにせよ、普段は裁く側のスタンスで見ている感覚があって。いざ、現実で自分が怒られる側になったときに、急激に自分という存在に目を向けなければならなくなることが、不安や恐怖をもたらしているのかもしれません。