地獄の難易度!? リアルお坊さん企画のカードゲーム、初版が即完売 「絶対見分けつかんわ」「俺の知ってる坊主めくりと違う」
「修行同期の写真を見ていたら…」
「WAYA工藝」は団体職員と僧侶、2人からなるクリエイターサークルで、今年3月からメンバーの地元である北海道を拠点に始動しました。 「おじさん構文を作って遊ぶ『オジサンメッセージ』を作ったボードゲーム制作サークル『ドヤゲームズ』さんに、ボードゲーム開発について教えてもらったのがきっかけです。それから、ゲーム開発を目指しました」。道内ながらも離れた都市に住む2人とあって、打ち合わせはZoomで行っていったそうです。 当初はコンセプトをしぼらず、「それぞれ団体職員と僧侶という異なる分野で仕事をしていましたので、地元の自治体の特産品をテーマにしたボードゲームなど様々な案を出しました」 話し合いを進めるうちに、11月に「幕張メッセ」で開催されるイベント『ゲームマーケット2024秋』への出展という目標が生まれ、ゲームのイメージを固めていく話し合いを重ねていきました。 目指すは、クリスマスやお正月に家族で遊んでもらえるようなゲームで、海外から出展する人にも興味を持ってもらえそうな日本らしいビジュアルインパクトが強い作品。ゲーム開発は初めてなのでルールは単純明快に。そこで、テーマは馴染みのある仏教に決めて、企画を検討。 「『一般の方にはわからないだろうけど、僧侶同士だと後ろ頭の形だけで見分けがつく』という話から、メンバーの修行同期の顔写真が並ぶアルバムを見てみたところ、そのシュールさ、あまりの見分けのつきにくさに『これだ!』となりました」。
「面白さを伝えるには本物しかない」
「肖像権の問題が真っ先に思い浮かんだので、当初は画像生成AIを使って制作する事も検討したのですが、AI画像だと人物の違和感がすごいんです。カードに印刷された僧侶の細かな特徴を見比べて同じ僧侶のカードを探すゲームなのに、生成された画像自体の違和感が強くて探すどころじゃなくなってしまうので、あのアルバムの面白さを伝えるにはやはり本物にお願いするしかないと」 写真を使用させてもらうために、知人の僧侶ひとり1人にゲームについて説明し、無事35人から承諾を得ました。 「話を持ちかけた時は、こちらが思った以上に『面白そうなことやってるね』という反応が多かった印象です。当初承諾してくれる人はごく少数だと思っておりましたが、予想に反して『顔出し大丈夫だよ』と快諾していただけました」 協力的だった理由として、個人的な推測だと前置きした上で、「業界全体としてなにか新しい取り組みも必要だ、という気持ちがあったからかもしれないです」と話してくれました。 「記載した名前は仮名とはいえ、本物の僧侶の方々に関わっていただくからには中途半端なものを出すわけにはいけませんので、パッケージデザインやイラストなどを担当したイラストレーターの「おとみしん」さんに法衣の風合いや細部のデザインまで細かく反映してもらいました」。 こうしてできた『ぼうずめくり』は10月中に実施されていたクラウドファンディングやSNSで「実在の僧侶35名の顔写真を使用した」というインパクトで注目を集めました。 協力してくれた僧侶たちに、完成した『ぼうずめくり』を聞いたところ、「自分の顔が入ったゲームで子どもが楽しんでくれた」「次回作に期待している」と好評だったと言います。お袈裟をまとった僧侶5・6人で「ぼうずめくり」で遊ぶ様子を撮影し送ってくれた方もいらっしゃったとのこと。「これには笑いを禁じ得なかったです」。 また、今回は協力できなかった僧侶から、「奥さんにこんな面白そうな企画になぜ顔を提供しなかったのかと怒られた」「自分も出せばよかった」と後悔の念も。