半導体、在庫調整響く 投資回復でFAは堅調 半導体商社決算
半導体や電子部品などを扱うエレクトロニクス商社の2024年3月期連結決算は、主要22社の業績合計の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも前期比で減少した。11社が増収したが、最終増益は8社にとどまる。半導体市場や中国市場の停滞感の影響を受けた。 【関連写真】上場する半導体商社の24年3月期連結業績 主要22社の合計売上高は、前期比3.5%減、営業利益は7.9%減。半導体関連では顧客サイドの過剰在庫が解消されておらず、調整局面が続く。 マクニカホールディングスの売上高は0.1%減。前半に増収増益だった半導体事業は、後半は停滞感の影響を受けた。産業機器も中国市場停滞の影響を受けた。車載は2桁台の伸びで供給改善とADAS(先進運転支援システム)などの需要が伸びた。 東京エレクトロンデバイスは、コンピューターシステム関連事業が好調で増収増益。一方、半導体と電子デバイス事業は減収減益だった。車載向け半導体の販売や産業機器、医療機器向けの設計・量産受託サービスは堅調だったが、中国市場の停滞や半導体メーカーによる直販化などの影響を受けた。 一方、堅調なのはFA関連で、立花エレテックのFAシステム事業の売上高は3.5%増の1189億円と過去最高を記録。カナデンのFAシステム事業も売上高が8.7%増の468億円に拡大した。RYODENのFAシステム事業の売上高も12.4%増の520億円。FA分野は半導体供給不足による納期長期化の影響が改善し、製造業の設備投資の回復基調もプラスに働いている。 半導体や電子デバイス関連の需要は、24年度上期は厳しさが続き、下期からの回復を見込むのが大方の見方だ。ただ、24年度通期業績は各社とも保守的な予想が目立つ。 20社合計の今期業績は売上高が1.5%増、営業利益(19社)、経常利益、当期純利益はいずれも1桁後半から2桁の減少を予想する。なお、菱洋エレクトロとリョーサンの経営統合により4月に発足したリョーサン菱洋ホールディングスは、企業サイドの旺盛なIT関連投資を背景に、通期業績を売上高4150億円、営業利益130億円、経常利益110億円、当期純利益80億円と予想している。
電波新聞社 報道本部