住宅に5時間“籠城” 相次ぐ人里でのクマ出没…行政も「保護」から「管理」の方針で積極的に駆除へ【福井発】
「保護」から「管理」へ 対応強化
今回、福井市の住宅街を騒然とさせたクマの出没について、野生動物の生態研究の国内第一人者である石川県立大・大井徹特任教授は「迷い込んでしまったとしか言えない」と話す。 クマが居座った現場となった住宅街の東側には足羽川、西側には日野川が流れていて、10km圏内にはクマが生息する山地がある。 「若い個体が新しく自分の生活場所を求めて活発に移動する時期なので、そういったクマが思いがけないところで目撃されることはこの時期よくある」と分析する。 こうした事態を受け、国や県にも動きが出始めている。 国は2024年4月にクマを「指定管理鳥獣」に指定した。これにより、各自治体はクマの捕獲や個体数調査などに国の交付金を使うことができる。 これを受けて県は、クマの扱いを「保護」から「管理」へとシフトし、個体数や生息地域をコントロールするため、国の調査に基づき、人里に近いエリアにクマがいることがわかれば駆除する方針だ。 県自然環境課の西垣正男さんは「これまでの保護計画では人に危害を加えるような場所に出てきたクマのみを捕獲してきたが、『管理』となることで、集落に出てくる前に、里の方に分け入ってクマを捕獲できるので大きな違いがある」と話す。 また、各市町でもクマ捕獲用おりの設置条件を「目撃」から「痕跡」に緩め、人への被害が出ないよう対策を強化している。 福井県がまとめた2024年度のクマ出没件数は6月16日時点で、すでに160件と、統計開始の2004年以来、過去最多のペースとなっていて、人的被害を防ぐための対策が急ピッチで進められている。 (福井テレビ)
福井テレビ