一度は見たい! 高山植物に彩られた「花の百名山・栗駒山」の絶景! 登山レポ
■栗駒山山頂直下にひっそりと咲くヒナザクラ
産沼からさらに1時間歩き、11時半頃に山頂に到着した。山頂にはすでに30人くらい集まっており、景色を眺めたり食事をとったりと、にぎわっていた。山頂から宮城県側の方面を見渡すと、登山口のいわかがみ平が見える。さらに右へ目を向けると、眼前から奥に向かって雲が広がっており、雲海の絶景であった。 「山頂付近にヒナザクラが咲いている」という事前情報を入手していた筆者は、宮城県側へ少し下った。歩き始めて1分、ヒナザクラはすぐに見つかった。登山道脇にひっそりと咲いており、まるで登山者を陰ながら見守っているようであった。ヒナザクラは白い花をつけ、中心部は黄色に染まっているのが特徴だ。
■タテヤマリンドウが群生するしろがね草原
山頂へと戻り、天馬尾根方面へ歩を進める。稜線沿いの道が続き、体を通り抜ける風が心地よい。稜線沿いからは須川湖や昭和湖、月山(がっさん)などが見え、展望がすばらしい。 山頂から下って約1時間半でしろがね草原へ到着した。草原のなかには木道が走り、地面をよく観察するとタテヤマリンドウが群生している。一株にたくさん花をつけているものがあり、青い色がとても映える。
■最後のピーク・秣岳
登山開始から約5時間で最終ピークの秣岳(まぐさだけ・標高1,424m)に到着した。秣岳から振り返ると栗駒山が望める。筆者が登ったときは晴れていたが、すでに雲がかかっていた。山の天気の変わりやすさを実感する。 秣岳を下り、天馬尾根コースの登山口へ下山。須川高原温泉の登山口と天馬尾根コースの登山口間は少し離れている。そのため、あらかじめデポしておいた車に乗り、須川高原温泉へと戻った。
■栗駒山登山の注意事項
たくさんの高山植物が咲き始める初夏の栗駒山。登山時の注意事項を以下に記載する。 時期によっては、登山道に雪が残る場合がある。滑落や雪の踏み抜きに注意して歩こう。今回筆者が登った6月中旬は、登山道に雪は残っていなかったが、雪解け水によって沢が増水する可能性もある。沢が渡れなくなることもあるので、雨や気温の情報にも気を配っておきたい。 ●須川コースは立ち入り禁止(2024年6月現在) 須川コースの昭和湖付近にて、高い火山ガス濃度の発生が確認されている。安全確保のため、須川コースの苔花台(たいかだい)~ 天狗平(てんぐだいら)区間は立ち入り禁止になっている。 ●分岐に注意 筆者は今回、栗駒山山頂から天馬尾根コースを下り、須川コースと湯浜コースとの分岐点で道を間違えそうになった。須川コースは通れないように看板がかけられていたが、その真横に天馬尾根コースが続いていた。正規の天馬尾根コースに気づかず、誤って湯浜コースに進むところだった。栗駒山の登山コースは複数あり、分岐点がいくつかある。道を間違えないように気をつけよう。
■栗駒山のフラワートレッキングを楽しもう!
栗駒山の魅力は紅葉だけではない。初夏には多くの高山植物が咲き、楽しいお花見登山ができる。花々が咲き乱れる栗駒山の美しい景色を、ぜひ自分の目で確かめてみてはいかがだろうか。 【登山ルート】 須川高原温泉・登山口→(20分)→名残ヶ原→(5分)→自然観察路分岐(苔花台)→(55分)→ 産沼分岐→(55)分→ 栗駒山山頂→(15分)→ 天狗平(須川分岐)→(90分)→ 秣岳 → (45分)→登山口 川村 亨(かわむら とおる) 東北の山を駆け巡る登山ライター。 日帰り登山がメインで、緑の広がる草原が好き。 自身のブログ「今日の一歩Blog」で登山情報を発信。
川村 亨