上司に退職を申し出たら、会議室で「辞めると会社が回らなくなり迷惑だ、損害賠償を請求する」と言われました。長時間労働で体調が限界なのですが、どうすれば良いですか? 本当に請求されるのでしょうか?
そのほかの手続きなどで注意すべきこと
会社が退職者に交付すべき書類を出してくれないなどの嫌がらせを受ける可能性はあります。未払いの残業代などの問題が発生しているかもしれません。ためらわず公的機関や弁護士に相談しましょう。 ■退職時に交付されるべき書類についての注意 会社が交付すべき書類として、次のようなものが挙げられます。 ・退職証明書 会社が従業員の退職を証明する「退職証明書」です。国民健康保険への切り替え手続きや、転職先の会社に提出する際に使います。退職者が請求すれば会社は発行を拒むことはできません。退職者が求めていない事項を記載することも禁止されています。 ・離職票 雇用保険の手続きに必要な書類です。退職手続きの後、ハローワーク経由で会社から退職者に交付されるものです。会社が交付してくれない場合や、離職票の記載内容に疑義がある場合には、ハローワークに相談しましょう。 例えば離職理由に「自己都合」とあるものの、実際は病気などやむを得ない事由で退職した場合などが考えられます。離職理由によっては、失業手当の額に大きな違いが出ることもあります。 ■未払いの残業代などの問題 従業員を脅して就労を強制するブラック企業なら、未払い残業代などの問題が発生しているかもしれません。心当たりがあれば、在職中にできる限り証拠となるものを集めておきましょう。また有給休暇の使い残しがないかも確かめたいところです。会社は従業員の有給取得を拒むことはできません。 このようなことも、公的機関や弁護士と相談しましょう。
強制労働の禁止は労働法の基本原則
労働契約は従業員と会社が自由な意思を持って締結するものです。従業員が辞職や休業を希望しているのに、その意思を抑圧して労働を強制することは許されません。違反行為については労働基準法の中で最も重い刑罰が定められています(1年以上10年以下の懲役など)。 上司の脅しがあったとしても、ひるんではいけません。公的機関や弁護士など、外部専門家の力をじゅうぶんに活用しましょう。 出典 e-Gove法令検索 民法 e-Gove法令検索 労働基準法 東京都労働相談情報センター – TOKYOはたらくネット どうなる?こんなトラブル!パート・アルバイト、派遣社員、契約社員で働く方のためのQ&A 厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内 執筆者:玉上信明 社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
ファイナンシャルフィールド編集部