“薬剤師ホスト”が抱く壮大な野望「医療格差や患者のたらい回しといった問題を改善したい」
難関大学を卒業後、就職活動をせずに夜職で稼ぐ人が増加している。彼らの目的は、若いうちに一気に稼ぎ、その資金や得た知名度を次のキャリアに活かすことだ。 歌舞伎町のホストクラブ「ECLIPSE」で働く月神ルイさん(@yukiamesora04)もその一人。薬剤師資格を取得後、お金を稼いで薬局を開業するという夢を持ち、ホストの道を選んだ。経営者として、そしてホストとして成功を目指すルイさんのキャリア観を聞いた。 ⇒【写真】お客さんに人気のお薬手帳風名刺
研究者を志すも、バンド活動に夢中に。大学には足が遠のく
科学に興味を持っていたルイさんは新薬の開発者を目指し、学生時代から勉強に勤しんだ。 難関理系大学に合格し、学業に励んでいたルイさん。しかし、ある日人生を変える出来事が訪れる。 「大学の友人に誘ってもらって行った音楽ライブに衝撃を受けました。そのときに初めて音楽の楽しさ、かっこよさに目覚め、自分も音楽の道に進みたいと強く思うようになりました」 ルイさんはすぐにバンドを結成。音楽活動に夢中になるあまり、次第に大学に通う頻度は減っていった。
薬剤師になることに両親は大反対…
本気で音楽に取り組む一方で、このまま突き進んでもいいのかと不安な気持ちもあったという。 「ライブハウスで、40歳を過ぎても『バンドで食っていく!』と言っている音楽仲間を見て、『この道で成功するのは相当大変だろうな……』と思いました」 そこでルイさんは『手に職を』と考え、薬剤師免許を取得することに決めた。 「両親には『音楽で食っていきたいから、薬剤師免許を取れる大学に行きたい』とは言えず、薬学部にいきたいとだけ伝えました。それでも大反対を受け、『どうしても行きたいなら、自分の金で行け』って言われましたね。やはり両親は研究者の道を歩んでほしかったのだと思います」 「編入する際にかかる約600万円の学費を自分で払うこと」を条件に両親を説得し、薬学部に編入した。バンド活動とバイトをしながら薬剤師国家試験の勉強をしなければならない。圧倒的に時間が足りないなかで試験を突破するために、ルイさんは自分なりの勉強法を編み出した。 「薬剤師国家試験って、とにかく覚えることが多いんです。試験前に焦って勉強しても間に合わないですし、僕はバンド活動も続けていたため、短期間に効率よく勉強しなければなりませんでした。そこで僕は授業で習ったらすぐに過去問を解くようにしました。過去問を先に解くことでどういう覚え方をしたらいいのか分かるし、自分が苦手なところを把握できるんです」 薬剤師国家試験の勉強法や覚えやすい語呂をSNSで発信していると、「勉強を教えてほしい」と連絡をもらうように。需要を感じたルイさんは、薬剤師を目指す人のための塾を始めた。すると全国から生徒がたくさん集まり、その授業料で自身の学費を払えるようになった。 「両親は塾がうまくいったことを喜んでおり、今は僕の仕事を認めてくれています」