《衆院選2024》機会確保 学校へ団地へ 移動期日前投票所 茨城県内で活躍
衆院選で、移動手段の少ない交通弱者などの投票機会を確保する「移動期日前投票所」の車両が茨城県内で活躍している。日立市ではバスやワンボックス車を活用し、20~25日までに19カ所を開設。22日は市内の高校や山側の住宅団地などを巡回し、高校生や高齢者が思い思いに1票を投じた。 同市川尻町の県立日立北高(清水秀一校長)では、バスを使った投票所が玄関前に止まり、昼休みに合わせて45分間開設。生徒と教員の計37人が投票した。 車両は市が茨城交通(水戸市)から借り上げた路線バス。車内の優先席に受付を、車いすスペースに記載台を設置し、立会人らは後部座席から見守った。 初めて投票した浮田陽斗さん(3年)は「みんなと一緒なので安心して投票できた」。学校では地域ボランティアを行うJRC部に所属。事前に候補者の主張を比較した上で投票に臨み、「地域との関わりという点で共感できる人に投じた」と話した。 バス投票所はその後、同市鮎川町の県立多賀高へ移動し、放課後に生徒ら26人が投票した。 市選管によると、移動期日前投票所は今回、市内の高校8校と茨城大、茨城キリスト教大の2大学に開設。また、丘陵地に造成された市内の山側団地は高齢化率が5割を超えていることから、団地内に投票所がない8団地にワンボックス車を使った移動期日前投票所を開設する。 ワンボックス型の投票所はこの日、約45年前に造成された高鈴台団地と小咲台団地を巡回。公民館駐車場に受け付けや記載台を置くなどしてそれぞれ1時間開設し、2カ所で計95人が投票した。 高鈴台団地に住む木村連(むらじ)さん(79)は投票所となった公民館まで徒歩で訪れ、「お年寄りの多い団地だから近くで投票できるのはとても助かる」と歓迎。これまでの選挙は急坂を下った先の市役所で投票していたという。 県選管によると、今回の衆院選で移動期日前投票所を導入したのは日立、高萩、常陸太田、常総、北茨城、常陸大宮、稲敷、小美玉、城里、境の県内10市町に上る。 若年層の選挙への意識向上のほか、投票率アップや投票所に足を運ぶのが難しい高齢者の投票機会確保を図るのが目的。県内では集会所や駅前、商業施設などへの開設が多いという。 県選管の担当者は「今後も繰り返し開設されれば住民の認知度も上がる。県内市町村に積極的に導入を促していきたい」と話した。
茨城新聞社