閉店した長野県松本市奈川・ちゅうじ食堂 若手夫婦が農家レストランに
長野県松本市奈川で約半世紀にわたって親しまれ、昨年11月に閉店した「ちゅうじ食堂」の建物で7月、地元出身・在住の南大和さん(33)、麻里子さん(32)夫婦が「農家レストラン&カフェOlu Olu(オルオル)」を開店した。家族で育てた地元農産物をふんだんに使った和洋食を提供し、奈川の食の魅力を発信する。地域の期待の中で「気軽に集える場所に」と願い、交流の場としての活用も考えている。 南さんの農園で収穫した季節の野菜を使った定食やカレー、ピザなどのメニューが並ぶ。特産の保平カブの漬物や、奈川在来のそば粉ガレットなども提供する。店名のオルオルはハワイ語で「心地よい」の意味があり、方言の「居(お)る」の意味も交えて「初めての人でも心地よく過ごせる場所に」との願いを込めた。 ちゅうじ食堂は昨年11月に店を切り盛りしていた女性が亡くなり、後継者も見つからなかったため、惜しまれつつ閉店した。同じ頃、南さん夫婦は「地元でとれた野菜を食事で提供したい」と考え、店舗物件を探していて、その中で建物の所有者に声をかけられた。当初は建物の大きさに迷いもあったが、大和さんが「このままでは奈川に大きな空き家ができてしまう」と危機感を覚え、思い切ってオファーを引き受けた。約半年かけ、大和さんの両親の手も借りながら手作りで店舗を改装。ちゅうじ食堂の雰囲気を残しながらも、木の自然な風合いを生かした内装に生まれ変わった。 開店1カ月足らずで常連となる地元客もいて、麻里子さんは「地元の人の協力や応援がうれしい」とほほ笑む。将来的に旅館部分を地域交流の場として開放することも考えていて「奈川の人が気軽に立ち寄れる場にしたい」と見据えている。
市民タイムス