統一教会と自民党の「本当の関係」 教祖が残した全20万ページの発言録、読み解いて分かった半世紀を超える歴史 「安倍3代」が手を出した「禁断の果実」
そして2006年、安倍晋太郎氏の次男・晋三氏が首相に就任。文氏の発言はこう続く。 「安倍晋三が首相ですよね。それは先生(文氏が自身を呼ぶ言葉)と近いですよ」(545巻321ページ) ▽教会の人たちは近づいてきませんか? ただ、安倍晋三元首相は当初、教団との距離の取り方について慎重になっていたとみられる。旧統一教会の問題に詳しいジャーナリストの有田芳生元参院議員によると、教団による霊感商法などが問題となった1990年代以降、自民党の政治家は教団と表立った関係を結ばないようになったという。 有田氏は2000年代初頭、テレビ番組で一緒になった安倍氏と、CM中にこんな会話をかわしたと明かす。 有田氏 「統一教会の人たちは近づいてきませんか?」 安倍氏 「しょっちゅう来るよ」 有田氏 「お会いになるんですか?」 安倍氏 「会わないようにしてる」 ▽「先生なくして成就できず」
風向きが変わったのが、2009年からの自民党の下野時代だ。安倍氏は一転して、教団関連の団体で講演するなど、表立った関係を持つようになった。有田氏はこう分析する。「選挙での勝利こそ、権力の源泉です。再起のため、教団の協力を必要としたのではないでしょうか」 協力の一端をうかがわせるのが、有田氏が2010年7月の参院選の際に入手した教団内部資料とされる文書だ。文書は、安倍派の山谷えり子参院議員(比例)の支援を呼びかける内容だった。 「ジェンダーフリー問題、青少年問題にとってなくてはならない先生」「山谷先生、安倍先生なくして私たちのみ旨は成就できません」 この文書にもあるように、教団が近年、矛先を向けてきたのが「性や家族の多様性を認める価値観」だ。昨年6月、東京都が性的少数者のカップルを公的に認める「都パートナーシップ宣誓制度」の条例案を議会に提出すると、教団関連メディア「世界日報」は「社会秩序の根幹をなす一夫一婦の婚姻制度を崩壊させてしまう」と社説で猛反発。ただその後、条例は可決されている。