統一教会と自民党の「本当の関係」 教祖が残した全20万ページの発言録、読み解いて分かった半世紀を超える歴史 「安倍3代」が手を出した「禁断の果実」
教団の政治団体「国際勝共連合」の機関紙「思想新聞」は衆参同日選のあったこの年の7月、「勝共推進議員130人が当選」と題する記事を掲載している。紙面を見ると、当選した自民党や民社党の衆参両院議員計118人の氏名が並んでいる。 国際勝共連合の設立と岸元首相、笹川良一氏についての記述もある。文氏は次のように語っている。 「日本の政治、政界の有力者である岸信介という人が日本で信望が良いので、笹川のじいさんと組ませて、私たちの計画通り踊らせておいたのです」(160巻161ページ) ▽安倍晋太郎元外相とは「契約」 文氏の選集によると、自民党との関係は後任の首相たちに受け継がれていったことになっている。 「中曽根を首相にしたのは私です。福田(赳夫)を首相にしたのも私です」(538巻271ページ) あたかも首相人事を掌握したかのような発言だ。さらに、「次期首相」と見込まれた岸信介氏の娘婿・安倍晋太郎元外相を巡っては次のような主張をしている。
「安倍晋太郎は私と契約書まで書いたのです。これを発表したら、世の中がひっくり返ります。その約束が何かというと、自分が首相になったら80人から120人の国会議員を連れて漢南洞(文氏の自宅)を訪問するというものです」(273巻117ページ) ところが、1987年10月の自民党総裁選で、中曽根氏は竹下登氏を後継に指名した。安倍晋太郎氏の首相就任を切望していた文氏は激怒する。 「中曽根は私を裏切りました」 「安倍が5分もあれば首相に当選できたのに、200億で売られたんです」(212巻185ページ) 元信者で金沢大の仲正昌樹教授(政治思想史)は、選集にある文氏の発言内容について、こう指摘する。 「教団幹部から『お父さま(文氏)はこうおっしゃった』と伝えられた内容と一致しています」 仲正教授は、教団の狙いを次のように分析した。 「勝共連合の活動を自民党と一体化して拡大し、最終的に日本の協力を得て南北朝鮮統一を果たすためだったのでしょう」