緑内障のレーザー治療や手術を医師が解説 手術のタイプや長所・短所とは?
緑内障手術ってどんな手術? 種類があるってホント?
編集部: では、レーザー治療について教えてください。 林先生: 「房水」は、「隅角(ぐうかく)」というところから目の外に排出されるのですが、この「隅角」が狭くなると、房水が排出されにくくなり眼圧が上昇します。 この「隅角」を広げたり、目詰まりを取ったりして房水の排出をスムーズにするために、レーザーが用いられることがあります。 編集部: 緑内障の手術はどんな手術ですか? 林先生: 方法としては①隅角の「線維柱帯」を切開して房水の排出を促す「線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)」と、②房水を流す排出路を作る「流出路再建術(トラベクロトミー)」の2種類があります。 編集部: どのような違いがあるのですか? 林先生: ①の線維柱帯切除術の方が、眼圧を下げる効果は高い一方で、②の「流出路再建術(トラベクロトミー)」は、近年眼内法による低侵襲緑内障手術が主流となり、手術の侵襲が少なく短時間でできるという長所があります。 また、白内障手術と同時手術をすることも増えています。くわえて、近年では様々な手術デバイスも開発され、小切開緑内障手術のバリエーションもさらに増えています。 それぞれにメリット・デメリットがありますので、手術をする際は医師とよく相談した上で術式を決めていただけたらと思います。 編集部: 最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。 林先生: 緑内障は視野が徐々に狭くなるため、自覚しにくい病気です。これは、水晶体がゆっくりと濁っていく白内障も同様です。そのため、眼科検診や健康診断を通じて、こうした目の疾患を早期に発見し、早期に治療することが重要になります。 また、緑内障の治療は一度開始したら、自己判断で中断せず、医師の指示に従って継続することが大切です。目の健康を守るためにも、40歳を過ぎたら定期的な眼科受診を心がけましょう。
編集部まとめ
緑内障のタイプと治療法について解説していただきました。緑内障には、薬物療法やレーザー治療、手術など、病状に応じた治療が行われますが、最も大事なのは、早期に発見し、適切な対処をすること、そして治療を継続することなのだそうです。 視野の狭まりや視力の低下は、進行するまで自覚しにくいため、病気の早期発見のためにも、定期的に眼科検診を受けましょう。 参考文献: 緑内障診療ガイドライン第5版(日本眼科学会) https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=477&dispmid=909
【この記事の監修医師】 林 雄介 先生(川口前川眼科クリニック蕨院) 順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学医学部眼科学講座に入局し、順天堂大学医学部附属練馬病院や順天堂大学医学部附属静岡病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院において研鑽を積んだのち、2022年より順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科・緑内障白内障 グループ長となる。2023年9月、川口前川に川口前川眼科クリニック蕨院を開院、院長となる。日本眼科学会専門医、眼科PDT研究会認定医、水晶体嚢拡張リング(CTR)使用認定医。
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