スロバキアで首相銃撃される 至近距離から5発撃たれ重体
ハンドロバ、スロバキア、5月16日 (AP) ― スロバキア中部ハンドロバで5月15日、ロベルト・フィツォ首相が至近距離から銃撃され、ヘリコプターで病院に搬送された。暗殺未遂事件は、欧州中部の小国に衝撃を与え、ヨーロッパ全土に響き渡った。 親ロシア派のフィツォ首相(59)は、ハンドロバで開かれていた支持者らとの政治イベントの後、会場のカルチャーセンターの外で至近距離から腹部を5発撃たれ、重篤状態で29キロ離れたバンスカー・ビストリツァの病院に運び込まれた。 容疑者はその場で取り押さえられ、身柄を拘束された。 銃撃の動機は今のところ不明。 同首相は長年、スロバキア国内外を二分する存在で、昨年、親ロシア、反米を掲げて政権に復帰したことで、EU加盟国の間では、スロバキアを西側主流派からさらに遠ざけるのではないかという懸念が強まっていた。 人口540万人のスロバキアは、NATO加盟国であるが、ウクライナへの武器供給を停止。フィツォ首相が同国の親欧米路線を放棄し、ハンガリーの大衆迎合政治家ビクトル・オルバン首相に追従するのではないかと見られており、スロバキア全土で連日、フィツォ首相の路線に反対する数千人規模のデモが行われていた。 暗殺未遂事件は、欧州議会の議員を選出する欧州全体の選挙を3週間後に控え、政治的キャンペーンが過熱する中で起こった。フィツォ首相と同様のポピュリストやナショナリストが、27カ国からなる欧州圏で勢力を拡大するのではないかとの懸念が高まっている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)