「選挙のプロ」が後ろ盾 元浜松市長の鈴木康友静岡県知事誕生 地元紙記者が2024年の政治を振り返る(中)
知事戦でのSNS「旋風」は起きず
市川: 知事選でもう一つ触れておきたいのは、SNSによる選挙運動。先の兵庫県知事選は、SNSによる選挙運動が結果を決めたともいわれている。振り返ると7月の東京都知事選で石丸伸二さんが2位に急浮上した「石丸旋風」、その後の衆院選で国民民主党が躍進したのも、SNSの影響が大きかったのではないかといわれている。 静岡県知事選では、大村慎一さんのSNSでの発信はよく見た。鈴木康友さんと大村慎一さんを比べると、大村さんの方が、おそらくSNSを活用して選挙運動をしていた。 さらに言うと、兵庫県知事選のNHK党の立花孝志さんのやり方が象徴的だが、SNSは本人だけではなく外野の人たちが、実はこんな裏があるんだよと話をして、それがどんどん炎上して拡散していく傾向がある。 静岡県知事選でも、その芽が少しあって、それが先ほど言った鈴木修さんと康友さんの関係を過度に強調するようなYouTubeを一部ジャーナリストが上げるなどしていた。ただそれが、結果を大きく左右することはなかった。静岡県ではSNS旋風は起きなかったのではないか。この辺はどう分析している? 宮嶋: 分からないことが多いが、大村さんは娘さんがSNSの担当で、SNSを、大村さんの真面目そうな人柄を柔らかく紹介するツールとして捉えていた。大村さん自身は、例えば企業のスズキと鈴木康友さんの結びつきを強調して康友さんに悪いイメージをつけようというような戦略的な発想でSNSを使っていなかった。実際そのような流れにもならなかった。 スズキの鈴木修さんと康友さんの関係など、全県的な関心事でもなかった。西の方の話でしょと。うねりのようにはならなかった。 結局SNSは強力なツールだが、真偽不明な情報も含めて飛び交う。それがどんどん既成事実化していく。兵庫県ではそうして斎藤元彦知事の再選につながっていく流れになったわけだが、静岡県でも手法として同様の流れになりかねなかったのではという危機感もある。今回は、SNSがそこまで脅威にならなくてよかったという思いが正直ある。 市川: 静岡県ではおそらくSNSによる選挙運動によって誰かが勝った実績はおそらくないと思う。ただこれから、例えば2025年は静岡市議選を皮切りに各市長選や参院選もある。各候補者が、SNS上でどのような選挙運動をしていくかは、注視していく必要がある。 (2024年12月7日にYouTubeチャンネル「SBSnews6」で配信した「フジヤマ6 静岡新聞記者のここだけの話 政治を総括2024 #2」を基に再編集しました)
静岡放送(SBS)