「どれだけ儲かるの?」探知機でレアカード判別も…オタクを餌食にする「転売ヤー」の正体
■転売をなくす唯一の方法は「買わないこと」
PS5やポケカと同じく、一時期は「ガンプラ」も店舗での購入は困難で、転売のターゲットにされていた。奥窪氏が取材した玩具業を営む人物は「ガンプラ」や「トミカ」の転売も行っており、「スモールビジネス」と言いつつも月に20万円ほどの稼ぎがあることを同著で自慢げに語っている。 「いわゆるオタクカルチャーのアイテムに転売が起きがちなのは、買う人がいるから……ですね。転売ヤーがターゲットにするのは、需要と供給のバランスで決まる真の自由価格よりも低い価格をつけられ、それより少し高くても買ってしまう人がいる商品。コアなファンを持つ商品ほど、転売品でも金に糸目をつけずに買ってしまう人が多いので、転売ヤーは商売がしやすい。 オタクの世界で転売ヤーは目の敵にされていますが、転売ヤーから買っているのもまたオタクの人たちなんです。これはディズニーグッズなど他ジャンルでも同じことで、今やあらゆる商品で転売が行われていますが、転売をなくす唯一の方法は“転売ヤーから買わないこと”のみと言えるでしょう」 とはいえ貴重な商品であればあるほど欲しくなり、「買えない」と噂に聞くとこれまた欲しくなってしまうのがファンの心理でもある。 「今、世の中には“限定商品”が溢れていますが、これだけ転売市場が大きくなった社会においては、“限定”の文字は転売ヤーにどうぞターゲットにしてくださいと言っているようなものです。また即完売したとあれば大きな話題にもなりますから、それでまた転売の価格が跳ね上がってしまう。物をどう売るかは売る側の自由です。ただ、本来届けたいファンのもとに届かない形で個数を限定する販売形態はどうなのか、とも思います。 今、日本ではSNSなどで転売ヤーは非常に嫌われる存在ではあります。それは当然だと思いますが、一方で販売側の売り方を見ると、果たして転売ヤーのみが悪いのだろうかという疑問が浮かびます。今回、このような本を執筆して、少しでも多くの人に転売の実情を知ってもらったうえで、ではその問題をどうするかという議論を進めていくのが良いのではないでしょうか」 奥窪氏は11月16日、自身のXにて「転売ヤーについて書いた拙著がさっそくメルカリで転売されていました(笑)」と、皮肉にもさっそく転売が行われているメルカリのスクリーンショットをアップしていた。膨れ上がった好奇心や購買欲が、商品の価値をさらに高めていく。どのような人たちがどのような手口で転売が行い、その背景に何があるのか。その実情を知るうえで同著は最適な一冊と言えるだろう。
ふたまん+編集部