破産手続きの「出雲須佐温泉ゆかり館」運営会社に補助金7900万円 国と島根県、出雲市が交付 23年度
「出雲須佐温泉ゆかり館」(島根県出雲市佐田町原田)を運営し、破産手続きに入っているスサノオドリーム(出雲市佐田町原田、福村浩司社長)に対し、国や出雲市などが2023年度、約7900万円の補助金を交付していたことが分かった。 【債権者集会】休業中のゆかり館(出雲)売却し弁済へ 破産管財人が方針表明
山陰中央新報社の情報公開請求で分かった。国や市は、民間企業の事業であることを理由に交付額を公表していなかった。 交付金は観光庁の「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」。2023年度分の実績に基づき支払われた。24年度分は同社が国に直接辞退を申し出ている。 実際に支払われた約7900万円のうち、国は約4700万円、市と県で約3200万円を負担した。 観光庁の担当者は、施設の高付加価値化が認められなかったり、廃業したりした場合、補助金返還を求める場合があるとしている。今後の補助金の取り扱いについて、市観光課の原哲也課長は「国の判断に従う」と述べた。 地元住民らが設立したスサノオドリームは18年、市からゆかり館を譲り受けた。当初年間1億円超あった売り上げは、コロナ禍で低迷。資金繰りが悪化した。23年5月に老朽化したボイラー設備などを改修するため施設を休業後、同社社長と連絡が取れなくなった。
24年5月、日本年金機構が土地と建物を差し押さえた。登記簿によると、出雲市や島根県も差し押さえに加わっている。8月に松江地裁出雲支部に自己破産を申し立て、破産手続きが進められている。負債額は約1億5千万円。11月に債権者集会があり、施設を売却し、債権の弁済に充てる方針が示されている。