コロナ禍の大学時代…社会人で急成長 男子400M障害の遅咲きの新星3位、パリ見据え「ベスト出せた」【陸上セイコーGGP】
◆陸上 セイコー・ゴールデングランプリ(19日、東京・国立競技場) 男子400メートル障害でパリ五輪の参加標準記録(48秒70)を突破している筒江海斗(スポーツテクノ和広)が48秒92で3位に入った。豊田兼(慶大)が48秒36の自己新で優勝した。 ■ピンクのユニフォームで快走するドルーリー朱瑛里【写真】 筒江は3日の静岡国際で豊田らを破って優勝。12日の木南道孝記念(大阪)で48秒58の自己ベストを出して優勝し、参加標準記録を突破した。3週連続でのレースに「ちょっと脚の疲労の蓄積がやばくて、体はしんどい状況だった。でも今のベストのパフォーマンスは出せた」と最後の直線で豊田に突き放されたものの、終盤まで先頭に立った。 2021年春に卒業した福岡大では、最終学年だった4年時がコロナ禍のまっただ中。大会が軒並み中止になり「2、3試合ぐらいしかできなくて。冬に一生懸命やった結果が出せない苦しさから、やめるのは嫌だった」と卒業後も現役を続けた。母校・熊本西高を通じた縁で、競技場などを施工する「スポーツテクノ和広」に入社。週4、5回出社して営業や見積もりの作成などを行い、終業後に福岡大で練習している。25歳は「大学ではただ陸上が好きというだけで続けていたけど、社会人になって会社を背負って走る責任が芽生えてから変わった」と急成長ぶりを自己分析する。 陸上のパリ五輪代表は各種目とも1カ国・地域につき3人まで。代表争いで優位に立てる参加標準記録突破者は昨年の世界選手権代表の黒川和樹(住友電工)を含めて3人おり、今回48秒91で2位に入った出口晴翔(ゼンリン)=東福岡高出身=も調子を上げている。筒江も代表入りへ油断できず、選考を兼ねた6月下旬の日本選手権(新潟)で3位以内に入ることが求められる。 厳しい争いだが、筒江は重圧を感じさせない。「現状では五輪が決まっていないので、あまり大きく(想像を)膨らませると浮いてしまう。シンプルに日本選手権で優勝するところだけを考えていく」と冷静に足元を見つめた。
西日本新聞社