「田中将大は神様ではなく人間」 思い出される星野仙一氏の言葉 巨人で問われる真価
田中将は楽天やヤンキースに在籍していた際、自身のグラブに「気持ち」という言葉を刺繍に縫いこんでいた。その言葉が示す通り、マウンドでは気迫に満ちた投球が右腕の真骨頂だった。11年前の日本シリーズ第7戦でリリーフとしてマウンドに上がったのも、指揮官の思いを意気に感じて投げたことは言うまでもない。
だが、あの当時、25歳だった右腕も来年で37歳。年齢を重ねれば、周囲の見方も変わる。楽天の退団に際し、最悪のタイミングで発表したこと、さらには感情が先行してしまった言動は反省すべきで、周囲のサポートがいかに大事であるかを自覚する必要があるだろう。
巨人が田中将を獲得したのは、これまでの実績だけでなく、米大リーグなどでの豊富な経験も評価したに違いない。たとえ巨人で結果を残せなかったとしても、投球に臨む際の姿勢などは若手投手にとって無形の力になると判断したとみられる。
星野氏が死去してから来年1月4日で丸7年がたつ。新たな居場所となる巨人で、「人間・田中将大」としての真価を示すことが、亡き恩師への恩返しにもなる。(浅野英介)