吉沢悠さん(46)老けこまないために“実年齢マイナス20歳”の意識で「今でも、あえて叱られる環境に身を置いています」|STORY
40代で叱られて、恥ずかしい思いをするのも良い経験
殺陣の先生の本業はもちろん殺陣師ですが、殺陣を通じて演技指導もしてくれるんです。レッスンでは、40代でこんなに叱られることある!? というくらい、叱咤されています(笑)。例えば、「女性にグイグイ迫って侍らせるワイルドな男」のような役は、本来の自分の性格とは真逆なので僕が苦手とする役所。そこを見事に見抜かれ「お前の芝居はなってない!」と突き返されたことも。人格否定は絶対にしませんが、「できてないところはできていない」とハッキリ言われるんです。その時は納得できずに悶々とした気持ちを抱えて帰路に着くのですが、時間が経って冷静になると「確かにな..」と腑に落ちるんですよね。 稽古はグループレッスンで、生徒は全員俳優。僕だけではなく、仲間たちも核心をついた指摘をされるので、悶々とした者同士で頑張っています(笑)。普通は避けたいところですが、皆の前で“恥ずかしい思いをする”というのもなかなか良い経験だし、メンタルを鍛えられますよね。もちろん得意な部分もしっかりと認めてくれるので、モチベーション高く毎回挑んでいます。
常に“マイナス20歳“の意識で生きることが、究極のアンチエイジング
殺陣の先生にいつも言われているのが「自分の年齢より20歳マイナスして、その年齢だと思って行動しろ」ということ。そうすると年齢を言い訳にせず、行動が軽やかになるんですよ。時間には抗えないから、誰だって必ず歳を取るわけじゃないですか。だけど、「年齢を重ねる」ことと「老け込む」ことは違うんです。どんなにキラキラしていた俳優でも、急におじいさんのようになっていく人もいる。そんな風に老け込まないためには、気持ちは“マイナス20歳”で、体はきちんと適切にメンテナンスする。もちろん年齢を重ねたことで「体が痛い」とか不調もありますよ。だけどその原因を「歳をとったから」と年齢のせいにしてしまうと、年々嫌なことが増えていくだけ(笑)。だから、メンテナンスは当たり前に淡々とこなすようにしています。 殺陣を習い始めてからこの4年間で、体だけでなく、今後の人生の捉え方や思考もガラッと変化しました。20代の時は先々のことを考えすぎていたなと思うんです。でも、あまり未来のことばかりを心配し過ぎても、何も良い方向には向かわない。だったら、今この瞬間を懸命に無我夢中でやり切るしかないと思うようになりました。先生の格言の1つに、“行く末は今の今”という言葉があるんですが、必死に生きていると見えてくるものがあるし、目の前の景色そのものが変わっていきます。僕にとっては、時の流れの捉え方を変えることが究極のアンチエイジング。俳優として日々自分と向き合って鍛錬していくことこそ、若さにつながる秘訣だと思っています。