イギリスは「スト頻発」により大混乱、アメリカは「社会が分裂」…橋下徹が語る「二大政党制」の「光と影」
10月27日の総選挙で、日本人は自民党に「ある程度のお仕置き」をするだろうが、政権交代には至らないだろう。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 なぜ、政治とカネであれほどの不信を生んだ自民党が、政権の座から転がり落ちることがないのか。 その理由を、もっともリアルに、もっともロジカルに、もっともドラスティックに解説するのが、維新の創始者・橋下徹氏だ。 選挙が近づくいま、橋下氏の『政権変容論』(講談社刊)を野党と国民が理解して受け入れたら、この国は確実に「良い方向」に変容するだろう。 『政権変容論』連載第48回 ※この記事は選挙公示前(2024年7月19日)に発売された本からの転載です。 『立憲民主党は「幼稚園児よりひどい」…橋下徹が酷評する、「万年野党」議員たちの身勝手すぎる振る舞い』より続く
長引く不況を打破するために
―しかし、与党も野党も、政策に大きな違いがなくなれば、有権者は何を基準に投票すればいいのでしょう。 世のなかには、保守系政党もあれば、リベラルな政党もあります。ポピュリスト政党と呼ばれるグループや、極右・極左政党も世界には存在します。彼らが訴える政策を吟味し、自分が理想とする社会を実現してくれそうな政党を、国民は選ぶわけです。 欧米先進国で二大政党制が実現している国も、政権交代で期待されるのはそこなのでは。現在が保守系与党による政治で偏っていれば、次はリベラル政党に投票しようとなる。バランスを取ることで国家運営はなされていきます。 橋下:たしかにイギリスもアメリカもそうですね。イギリスでは戦後、労働党と保守党の二大政党政治が続きました。戦後の荒廃期には、労働党による社会福祉重視策が人気を集め、しかし、それが行き過ぎた結果、財政難に陥ってしまった。「イギリス病」と呼ばれた経済不況を打破すべく誕生したのが、保守党のサッチャー首相でした。
左右に揺れるイギリス政治
橋下:彼女はこれまでの社会主義的な政策を一気に廃止し、競争を重んじる新自由主義的な政策を断行。そのおかげで経済不況からは脱しましたが、今度は国民の間で格差が拡大、生活苦に陥る人が続出しました。 そこで90年代後半には再び、再分配を重視するリベラル派の労働党が圧勝し、ブレア内閣が誕生したのです。 ―橋下さんは本来、二大政党政治が理想と語っていますが、イギリスの二大政党政治はだいぶ振れ幅が大きく、社会的に混乱を招きやすい。ブレグジット(イギリスの欧州連合からの離脱)もそうですが、イギリスでは、政権交代のたびに、これまでの路線と逆行することを繰り返し、国民が振り回されている感があります。 橋下:日本の場合、ここまで振れ幅の大きな二大政党政治を踏襲する必要はないでしょう。 『橋下徹「実行力のない政権よりはマシ」…じつは自民党は野党の政策を「丸パクリ」、それでも「圧倒的支持率」を維持し続けるワケ』へ続く
橋下 徹(元大阪府知事・元大阪市長)