アミュプラザ鹿児島、開業から20年…ランドマークとして定着、中央駅エリアは一大商圏へ
JR鹿児島中央駅ビルのアミュプラザ鹿児島(鹿児島市)が17日、開業から20年を迎えた。九州新幹線の終着駅で陸の玄関口という立地から、鹿児島のランドマークとして存在感を放ち、2023年度は1771万人が来館するなど、一大商圏へ成長した。新型コロナウイルス禍を乗り越え、次の10年へ成長戦略を模索する。(連載「フォローアップ経済かごしま アミュ開業20年」㊤より) 【写真】アミュプラザ鹿児島開業20周年の花束を受け取る来館者=17日、鹿児島市
同館は04年3月の九州新幹線一部開業の半年後にオープンした。シネマコンプレックス(複合映画館)や観覧車を備えるなど、長く滞在して1日中買い物や飲食を楽しめる「時間消費型」の商業施設は当時、鹿児島では初めてだった。 10周年の14年には雑貨店やアパレル店が入る地上7階建ての別館「プレミアム館」を増床、23年には中央駅西口に商業エリア「AMU WE」を開業した。一帯の関連店舗を合わせると、売り場面積は約4万7200平方メートル、店舗数は256に上る。 ■□■ 県不動産鑑定士協会の木下登会長(55)は「核となる施設ができると周辺に店舗が集まりやすい。新幹線の全線開業も合わさり効果は大きい」と話し、アミュの存在は中央駅エリアの価値を上げたと分析する。 国が3月発表した公示地価(1月時点)では、天文館通電停前の「東千石町13の19」が04年比で5%下落しているのに対し、中央駅西口近くの「西田2の21の23」は47%も上昇した。「天文館一強だった商圏が明らかに分散した」と木下会長は振り返る。
同市内では00年代後半、与次郎ケ浜地区を含む市南部に相次ぎ大型商業施設が進出し、天文館、中央駅に続く「第3の商圏」が誕生した。その間、アミュもプレミアム館の開業など集客力を高め続け、18年度まで入館者数と売上高を堅調に伸ばした。19、20年度こそコロナ禍で落ち込んだが以降は持ち直し、23年度の売上高は237億円と18年度の約9割まで回復した。 ■□■ アミュでは、パート・アルバイトを含め約2900人の従業員が働く。少子化による人手不足はアミュも一緒で、働き方改革には余念がない。20年2月には開業以来初めて全館で休業し、現在も年2回休館日を設ける。今年10月からは、店舗ごとに開店と閉店の時間を調整できるフレックスタイム制度のほか、店休日を設定できる「パワーチャージ休暇」を導入する。 アミュを運営するJR鹿児島シティの本田ちひろ販売促進課長(42)は「働きやすい職場環境を整え、勤務先として選んでもらえたら。従業員の笑顔と高いモチベーションは、お客さまの満足度向上にもつながるはず」と話す。
20周年として、ユニクロや無印良品といった来館者からのニーズが高い店舗を増床した。昨年、鹿児島に初出店し好評だった「IKEA」のポップアップストアは今年も誘致する。「魅力ある店舗と職場づくりで、ドキドキやワクワクを提供し続けたい」と本田課長は力を込めた。
南日本新聞 | 鹿児島