「ステージ4」の下咽頭がん 「死は怖くない」見栄晴が2度、涙した 妻が電話越しに「どうだった?」
治すか、逝っちゃうか
競馬の関係者にも心配をかけてしまいました。がんを公表した翌日、以前からの予定で競馬場に行きました。友達の馬がレースに出ていたんです。騎手や調教師がみんな不安そうに、「来て、大丈夫なの?」という顔をしていました。(武)豊くんも遠目から、のどに手をあてて「大丈夫?」と言ってくれました。 明らかに、周りから違う目で見られているなということは感じました。みんなが「ステージ4」という言葉に驚いていたんです。自分は死んじゃう人と思われているんだなと思いました。「まさか、こんな時に、競馬場に来ちゃうんだ」という声が聞こえてきそうでしたね(笑)。 でも、自分としては、死ぬのは全然怖くなかったんです。あっちには、お袋や親父がいるから。女手一つで育ててくれたお袋とは、ずっと話したいという思いがありました。きっと、笑顔で迎えてくれる。嫁や娘を残していくことは、もちろん寂しいですよ。ただ、自分としては治すか、逝っちゃうか、という気持ちでした。 *** 第4回は、手術か抗がん剤治療と放射線治療かを選んだ 見栄晴が人生観、死生観を語る。 見栄晴 1966年、東京都生まれ。15歳の時、テレビ番組「欽ちゃんのどこまでやるの!?」で人気に。1998年から、CS放送「競馬予想TV!」でMCを務める。 デイリー新潮編集部
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